「常に新しいことに挑戦したい」とソニーグローバルソリューションズの大野部門長:待望! 次世代ITリーダー(4/4 ページ)
「ソニースピリット」をITで支えるソニーグローバルソリューションズの大野部門長は、「常に新しいことに挑戦したい」と話す。教科書的な「べき論」ではなく、この業界で卓越した手腕を発揮しているITリーダーに取材し、その実像に迫る。
大野氏は、SEやプロジェクトマネジャーの大切なスキルの一つとして、「相手を説得する力」を挙げる。再利用可能なオブジェクトをつくって渡すのは簡単だが、それが全社の資産として生産性の向上につなげることは難しい。
大野氏も40歳代半ばに差し掛かった。「若い人たちは……」と愚痴の一つもこぼれてくる。
「若い人たちは“僕は言った”というけれど、多くの場合は合意形成されていません。理解してもらい、同意してもらい、賛成してもらう必要があります。技術の話だけでは進まないのです。これもリーダーが身に付けなければならない力の一つだと思います」(大野氏)
成功事例で合意形成
ITmedia 合意を形成していくうえで最も重要なことは何でしょうか。
大野 物事を変えていくときには、いろいろな問題にぶつかります。そこで、成功事例を増やして、「勝ち馬に乗れ」という雰囲気をつくることが大切になってきます。「ここもあそこも成功した。じゃあ、俺たちも成功できる」と思わせるのです。だから最初のプロジェクトは、成功事例をつくるために全力投球します。それはすごく大切です。成功しなければ、だれも信じてくれません。「本にはこう書いてある」では、だれも付いてきてくれないのです。
これはITの世界に限ったことではないが、とかく新しいプロジェクトは「トライアルだから……」という、失敗したときの言い訳リストがたくさん出来上がる。
「失敗すれば、それですべて終わってしまいます。最初だから絶対に成功させようという意気込み、ストレッチゴール(高い水準にある意欲的な目標)が重要なのです」(大野氏)
部下、上司、顧客、ユーザー、パートナー……、ITリーダーの周囲にはさまざまなステークホルダーがいる。例えば、部下やパートナーらにトップダウン式に「これでやれ」と命じて動く時代ではないと大野氏は話す。上司や顧客、ユーザーとの関係にしても大きく様変わりをしている。
ITmedia 大野さん自身の今後の目標、10年後のどうありたいのかを聞かせてください。
大野 私自身はものづくりが好きです。たまたまITの世界に身を置いていますが、ものをつくることを続けていきたいと思っています。今はソニーグループのシステム全体の最適化を図るべく、そのアーキテクチャーを考えるという役割が与えられています。この部門をマネジメントしていくことが大事で、この部門を大きくして、さらに新しいことにチャレンジしたいと考えています。
大野豊氏が大切にしてきた原則
- 画一的なゴールはない、個々に成功のイメージを持て
- 常に新しいことにチャレンジ
- 未知のことも素早く学んで自分のものに
- 素人であるがゆえの優位性を生かせ
- 失敗を次につなげる
- 成功事例で合意形成を
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