ケータイから車載、オフィス機器へとすそ野を拡大するJava ME:Interview(2/2 ページ)
誕生10周年を祝うJavaは携帯電話の60%に搭載されるなど、コンシューマー分野でも応用範囲を拡大している。Sun Microsystemsクライアントシステムグループのアラン・ブレナー副社長に話を聞いた。
ITmedia SunにとってJavaはビジネス的にどのような位置づけなのでしょうか? ロスリーダー(それ自身では損失を出しているが他製品への波及効果を狙った製品)と考えてよいでしょうか?
ブレナー 製品別の収益については公開していませんが、Javaのビジネスは単独で利益を上げています。したがって、ロスリーダーという言い方は適切ではないでしょう。
ITmedia 開発者コミュニティーについて教えてください。Java EE、Java SE、Java MEの間で開発者のオーバーラップはかなりありますか。
ブレナー 現実にはオーバーラップはそれほど多くないと思います。組み込みソフトウェアの開発にはかなり特殊な要素がありますからね。
とはいえ、開発者がJava EEやJava SEの本質を理解していれば、Java MEの理解も容易になるでしょう。これこそが、組み込みソフトウェア領域におけるJavaテクノロジーの大きな強みだと思っています。
ITmedia 今、日本では組み込みソフトウェアエンジニアの開発能力を強化しようという動きが進んでいますが、エンタープライズ系のスキルを組み込みソフトウェアに活用できるのであれば、このような動きはJavaにとってかなり有利に働きそうですね。
ブレナー はい、その通りだと思います。
リアルタイム性の課題も克服
ITmedia 組み込み分野におけるJavaというと、リアルタイム性の課題があると思いますが。
ブレナー 確かに、自動ガーベジコレクションとリアルタイム性の共存は難しい課題ですが、JSR(Java Specification Request)-01としてJavaのリアルタイム仕様(RTSJ:Real Time Specification for Java)が標準化されたので、課題は克服されたといってよいでしょう。
ITmedia 昨日の基調講演ではJava搭載のBMWの話もありました。
ブレナー SunのパートナーであるSimensによるソリューションです。Javaが採用されているのはダッシュボード表示やクルーズコントロールなどであって、エンジン制御やトランスミッションなどのリアルタイム制御が必要な部分にJavaが採用されているわけではありません。
ITmedia 将来的には、Javaがエンジンやトランスミッションに採用されることもあるでしょうか?
ブレナー すぐにとは言えませんが、そうなる可能性は十分あると思っています。リアルタイムJavaについては航空業界や国防関係でも現実の採用事例が出始めていますから。
ITmedia では、最後に日本のユーザーにメッセージをお願いします。
ブレナー Java MEにとって日本市場は大きな可能性があると思っています。基調講演でも、Javaを搭載したデジタル複合機やDVDプレーヤーを紹介しました。携帯電話は当然のこととして、日本メーカーのオフィス機器や情報家電の開発能力は極めて高いものがあります。また、ファクトリーオートメーションなどの分野にも大きな市場機会があると思っています。
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