東北大の次世代融合研究システムが本格稼働――計算と実験の融合が進む(2/2 ページ)
東北大学流体科学研究所のスーパーコンピュータ「次世代融合研究システム」が本格稼働を開始した。複雑な実現象をありのままに再現することで、流体科学研究のさらなる進化を目指す。
Itaniumは死んだか?
今回の導入でおそらく同研究所が最も残念に思っているのは、Montecitoプロセッサを搭載したサーバを導入できなかったことだろう。Intelのロードマップが順調に進んでいれば、すでにリリースされていたはずのMontecitoだが、量産時の品質向上のため、現時点でのリリース予定は2006年中旬にスライドされた。
Montecitoプロセッサの搭載によるメリットとしては、もちろんパフォーマンスの向上が挙げられるが、それ以外にも、運用コストの削減効果がある。これだけの大規模システムだと電気代も相当なものになるが、デュアルコアのMontecitoであれば、パフォーマンスを向上させつつ、電気代を大幅に下げることができ、運用コストの削減につながるからだ。
ところで、ここ数日、Intelからデジタル・エンタープライズ事業本部HPCプログラム・オフィスのCTO(最高技術責任者)、スティーブン・ウィート氏、同じくデジタル・エンタープライズ事業本部の本部長で、上席副社長でもあるパトリック・ゲルシンガー氏が相次いで来日、同社のプラットフォーム戦略を説明している。
同社では、Itaniumには大きな期待を寄せているように見える。Itaniumについても消費電力当たりのパフォーマンスを高めていくことで、より需要を喚起する考えだ。
しかし、市場にはIntelがItanium事業から手を引くのではないかという不安が根強く残っている。Intelが提供しているItanium用のチップセットである「E8870」が“古すぎる”ことや、Montecitoプロセッサの市場投入が遅れていること、Xeonプロセッサとのポジションの違いが十分に市場に伝わっていないことなどこうした不安を引き起こしているようだ。
こうした不安に対してゲルシンガー氏は、「Itanium事業の切り離しは弊社にとってまったくメリットもないし、そうする意図もない。製品のリリースが遅れたことで、市場における競争力を不安に思うかもしれないが、日本市場におけるItanium2搭載システムの出荷金額はPOWERやSPARCのそれを大きく上回っている。わたしがこのようなポジションについたのも、Itanium事業をより成長させるため」とこうした懸念を一蹴する。また、2004年12月に、IntelはHP社内のItanium開発チームを吸収しているが、これについても「設計プロセスを統一するため」(ゲルシンガー氏)であると説明している。
2005年9月には、主要ハードウェアベンダーを中心に、Itanium2市場の拡大を目的としたグローバルアライアンス「Itanium Solutions Alliance」が発足している(関連記事参照)。同アライアンスでは、移植や最適化のためのツールやサービスを提供する一方、マーケティング支援活動を展開していく予定。Itaniumを推すハードウェアベンダーには日本企業が多いこともあり、この取り組みを通じてItaniumの市場拡大を狙いたい考えだ。
関連記事
- 日本SGI、東北大学流体科学研究所の「次世代融合研究システム」を受注
- Itanium普及を後押し、「Itanium Solutions Alliance」発足
- 日本原子力研究所が2048CPU構成のLinuxスパコンを導入――スパコンの現状を探る
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.