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ユーザー企業のシステム経験者減少に深い懸念構造改革としての2007年問題(2/2 ページ)

富士通総研の前川徹氏は2007年問題について、「ユーザー企業側において、今後システムを良く理解している人材が減少することに懸念を持っています」と話している。

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スキルの継承が進む方法はないのか?

 また、能力主義や成果主義の導入で、個人のスキルで報酬を決める時代になると、運用によってはチームワークが立ち行かなくなるケースが増えるという。それがスキル継承を困難にする一因と指摘する前川氏は、「ノウハウや業務の勘などが、自分の存在理由となっているからです。一緒に仕事をしても、自分が企業内で生きていく肝心な部分は隠し、それを引き継がないまま退職するケースが今後増えるでしょう。スキルや勘を引き継ぐことへの、正当な評価基準が必要なのですが、特に大手の企業ほど仕組みづくりは困難かもしれません」と語る。

 今は問題ないレガシーシステムも、多かれ少なかれ業務にあわせた更新が必要となってくる。ならばいっそのこと、スクラッチで作り直したほうがいいのではないかという意見も多い。パッケージ製品も多く、ウェブベースで使い勝手のいいシステムを作るのはそれほど困難ではない。

 そこで同氏は、プログラミングスキルの継承に効果的な方法として、ペアプログラミング(1台の開発マシンを2人で共有して常に共同でコードを書く開発技法)を推奨する。これはアジャイルソフト開発の先駆けとなったXP(エクストリームプログラミング)の一つで、最近注目されている開発手法だ。

 1人あたりの生産性は若干落ちるが、バグが少なく良質なプログラムができるため、トータルの生産性は非常に良いという。さらに同氏は、リスクの大きいウォーターフォール型開発文化を見直し、各工程を反復させるスパイラル型開発へのシフトなど、ライトウェイト志向な開発が望ましいとも提言する。

 それで、ノウハウの引継ぎや人材の育成ができるなら一石三鳥の効果だ。「熟練者からは適宜指導が受けられ、効率よく暗黙知化したままのスキルを継承できると思います。加えて、達人や匠の書いた良質なプログラムを読むことも大事ですね」と前川氏はアドバイスする。

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