EAの生みの親、ザックマン氏語る:構造改革としての2007年問題(3/3 ページ)
2007年問題が日本企業の情報システムの構造変化のきっかけになるとして、次のあり方を考える場合、エンタープライズアーキテクチャが1つのキーワードになる。生みの親であるザックマン氏に話を聞いた。
EA推進のリーダーは誰?
ITmedia 企業の中で、エンタープライズアーキテクチャを実践するに当たって、キーマンになるのは、経営者、CIOなどで言うと誰になるでしょうか?
ザックマン なぜアーキテクチャが必要か。それは、それを使わないと、複雑すぎて良いものができないからです。
ある人が、北米の108の企業にインタビューしました。そこで、Chryslerのアイアコッカ氏(元会長)やGEのウェルチ氏などを含めて、多くのCEOが回答していたのが、「変化に対応できるようにすること」が何よりも重要、ということです。
しかし、それにもかかわらず、そうした企業のほとんどに、チェンジマネジメント(組織管理)に対応する役割を果たす人がいないという状況があるのです。ですから、私はチェンジマネジメントに対応できる人が必要になると考えています。過去の経験から、どんな組織にするべきかの絵を描かなくてはなりません。そして、そのときにもキーになるのが、アーキテクチャなのです。
つまり、私の回答としては、EA推進のキーマンは、「チェンジマネジメントを担当する者」と同義です。そして、私は、CEO自身がそのアーキテクチャの責任者にならなくてはいけないと考えています。もしそれができないならば、ナンバー2の人がやるべきです。しかし、今現在、そういった役割を果たす人はほとんど存在していないのが実情です。
アーキテクチャの責任者は、必ずしもそれをつくった人である必要はありません。大事なのは、アーキテクチャに沿って実行されているかを適切に管理することです。
ITmedia 現状、ザックマンモデルとしてのEAが目指すものと、実践する米国企業の間に何かギャップを感じていますか?
ザックマン アーキテクチャが何である、というものに対して、現在のEAのあり方はまだまだ発展段階だと感じています。産業社会から情報社会に進んでいけばいくほど、アーキテクチャが必要不可欠になっていきます。
関連記事
- 構造改革としての2007年問題
- 継承するものを定義し外在化するアウトソーシング
- 次世代の基幹システム構築を成功させるキーワードは?
- 2007年問題の本質は企画力を持つ経験者の引退にあり
- ユーザー企業のシステム経験者減少に深い懸念
- 急成長ベンチャーが実現した「未来の大企業」としてのERP導入
- 暗黙知の断絶こそが2007年問題の正体
- 「2007年」のインパクトは2000年問題よりはるかに大きい――SAP玉木氏
- 「60歳定年退職制度」で露呈する企業の諸問題を検証する
- 「65歳まで働けます」、日本IBMが2007年問題にらみ新制度
- ワークスAPの「問題解決能力発掘インターンシップ」への応募者が3万人を突破
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.