カリスマに代わりはいない、それが問題だ:構造改革としての2007年問題(2/2 ページ)
5年で全社員が入れ替わるシリコンバレーの企業は日本とは異なる文化で知識の連携をしている。しかし、SASの堀社長によれば、どうしても置き換えられないものも存在するという。
ビジョンを立てられる人が重要
ITmedia 今後の新たな情報システムのあり方によって、何か変わることはあるでしょうか。
堀 以前は、知識そのものを持っている人が評価される傾向がありました。しかし、今後、ナレッジがシステムに格納されるようになると、ビジョンを立てられる人や、ナレッジを利用して何かを考えられる人が評価されるようになるでしょう。
ITmedia テクノロジーとして具体的に注目しているものはありますか?
堀 2007年問題と関連していることとして感じていることは、従来は長い間蓄積されたナレッジが特定の技術者や人に蓄積され、そうした人が、企業の情報システムの要件を決めている状況がありました。結果として、人にシステムを合わせることになり、作り込みを前提にした複雑な情報システムができあがっていったのです。
しかし、今後、日本も終身雇用を前提にする制度ではなくなると考えると、社内特有の事情というナレッジはあまり蓄積されなくなるでしょう。つまり、ソフトウェアを作り込むのではなく、カスタマイズなしに利用しようという考え方に向かっていくのではないでしょうか。
ITmedia SASの2005年のビジネスの振り返り、2006年の展望について教えてください。
堀 2005年は個人情報保護法の施行もあったことで、アクセス履歴を取るというニーズが発生、ETLやレポーティング製品が収益に大きく貢献しました。今後も、日本版SOX法の施行も見据えながら、このようなニーズは引き続き高いと考えます。そして、データを蓄積しようとすると、必ずデータの品質が問題になります。そこで、ETLはもちろん、あらゆる分野で、データインテグレーションへのニーズが高まります。また、郵政民営化をきっかけにした引き合いも来ています。
ITmedia 個人としての2006年の抱負を教えてください。
堀 何年も変わっていませんが、私の好きな言葉は、「Change the World one Person at a time」(1度に1人づつ変えれば日本が変わっていく)です。現在の日本は変革の時を迎えています。さらに、SASはBIを利用することで、「Change the World many Persons at a time」(一度に多くの人を変えることができる)ができる会社です。BIを利用することで、2007年問題だけでなく、競争力アップ、コンプライアンス対応などにおいて、企業を支援することができます。結果として、この会社が伸びればいいと思っています。その点は、(ライブドアを指して)先に株価を上げようとする企業とは違います。物事には順番があるわけで、社会に対して価値を提供した結果として企業の成長はあるのです。
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