企業の資金調達方法の一つ「ファクタリング」とは?:こんな時期だからこそ知っておきたい企業のファイナンス(2/2 ページ)
会社の持つ売掛金や受取手形などの債権をファクタリング会社へ手数料を支払って売却し、本来、会社で行う債権回収業務をファクタリング会社が行うのがファクタリング。企業における資金調達の方法として今注目されている。
2.ファクタリングの分類
企業がファクタリングした売上債権について、売上債権先が決済期日に支払不能に陥った場合、それを企業とファクタリング会社のどちらが負担するかにより、償還請求権のあるファクタリング(企業が負担する)と、償還請求権のないファクタリング(ファクタリング会社が負担する)に分類されます。
一般的に、償還請求権のないファクタリングでは、企業がファクタリング会社に支払う手数料はその危険負担分だけ割高となります。また、債権の支払期日に売却代金が支払われる期日払方式のファクタリングもあります。さらに、企業の債権がファクタリング会社に譲渡されたことを債権先に通知するか否かで、譲渡通知のあるファクタリングと譲渡通知のないファクタリングに分類されます。
なお、先に述べたファクタリングの会計処理はすべてのリスクが債権譲渡先に移転する場合の一例であり、上述のようなファクタリングの種類によってその会計処理は異なる場合があるので注意が必要です。
3.ファクタリング実行に当たってのコスト負担
ファクタリングの実行に当たってのコストですが、まず、ファクタリング手数料が挙げられます。これは上述のとおり、ファクタリング会社によって提供される役務(債権の管理、回収業務など)に対する対価となる部分で、債権先の信用度合いなどによっても左右される場合があります。次に、前払方式のファクタリングにおいては、割引料が挙げられます。これは通常の受取手形の割引料と同様の考え方に基づき、債権を回収期日前に資金化するための利息と見ることができます。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
譲渡会社において、債権の譲渡が取引先の信用を失うことにつながりかねないことや、通知を受けた側で、譲渡承諾印を押印する社内手続きの煩雑さがあるので、債権譲渡の通知・承諾のないファクタリングが多く採用されているようです。また、償還請求権のないファクタリングは、ファクタリング会社での信用調査の煩雑さや信用調査能力の限界があるため償還請求権のあるファクタリングが多く採用されているようです。
関連記事
- 誰も知らない会計参与の意義と役割
- 金融機関との協調による経営再建
- 取引先に対する新株発行、注意すべきポイントは?
- 新株発行規制などについての改正
- 株主総会が商法改正によりIT化されたが、取締役会決議もIT化できる?
- 行政による個別労働関係紛争解決促進制度
- 株式会社が作成すべき営業報告書の記載内容
- 日本版LLP、日本版LLCとは?
- 減損会計、あなたの会社の固定資産は大丈夫?
- 教えます、金融機関との付き合い方
- 「将来有望なIT技術です。融資してくれませんか?」――あるIT社長の悩み
- 誰も教えてくれないIT企業の法律相談所
関連リンク
Copyright Dai-ichi Hoki Allright Reserved