ベテラン営業担当のノウハウをITで伝承する:構造改革としての2007年問題(3/3 ページ)
2007年問題はメインフレームのメンテナンスの問題だけではない。一般企業の事務職にとっても、ベテラン社員の経験やノウハウを継承していくことが大きなテーマになる。
さらに属人的なノウハウもITでカバー
しかし、さらに属人的な経験やノウハウもある。営業担当者が備えている営業ノウハウにかかわる部分は、継承することが特に難しい。これは、究極的な2007年問題のテーマと言えるが、実はこれに対応するための取り組みも進んでいる。
その基本となるのは、まずこうした属人的な要素がつきまとう営業活動を定量化する作業だ。例えば、販売促進費を単に売り上げに対比させるのではなく、利益とも対比させ、その営業活動が具体的な数値としてどの程度企業活動に貢献しているかを見るというような作業が必要になる。ベテラン営業担当者の経験やノウハウを継承するには、まず営業活動を付加価値業務としてとらえ、それを利益で推し量ることが大切だ。
ある大手コンサルティングファームは、さらに、その営業活動を推進する上でのPDCAサイクルを検討する必要があることを指摘する。「営業戦略策定」から「営業実行計画策定」「営業活動実行」、そして最終的に顧客別に利益を「調査、分析」することによって、顧客ごとのコスト、売り上げ、そして利益を把握しようというものだ。
企業側でも、そのための情報収集のインフラを構築する取り組みが行われている。従来は属人的とされていたノウハウを、ITの領域に取り込む動きは着実に進んでいる。
いまこそ企業は、「2007年問題」という大きなテーマを前にして、再雇用といった目先の対策を考えるのではなく、コンテンツやナレッジといった視点からベテラン社員の経験やノウハウを管理、共有していく必要がある。
関連記事
- 構造改革としての2007年問題
- 団塊後を担う若手エンジニアに求められる「JML」――ウルシステムズ漆原社長
- 「日本史上初」の人口減と2007年問題が重なって、どうする?
- カリスマに代わりはいない、それが問題だ
- 内部統制で2007年問題が起こりうる――日本オラクルの新宅社長
- 2007年問題をAIで解決する
- 2007年問題と日本版SOXの共通点
- 継承するものを定義し外在化するアウトソーシング
- 次世代の基幹システム構築を成功させるキーワードは?
- 2007年問題の本質は企画力を持つ経験者の引退にあり
- ユーザー企業のシステム経験者減少に深い懸念
- 急成長ベンチャーが実現した「未来の大企業」としてのERP導入
- 暗黙知の断絶こそが2007年問題の正体
- 「2007年」のインパクトは2000年問題よりはるかに大きい――SAP玉木氏
- 「60歳定年退職制度」で露呈する企業の諸問題を検証する
- 「65歳まで働けます」、日本IBMが2007年問題にらみ新制度
- ワークスAPの「問題解決能力発掘インターンシップ」への応募者が3万人を突破
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.