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自由を我らにGPLv3 Conferenceリポート2(2/4 ページ)

前回に引き続き、先月ボストンで開催されたGPLv3 Conference2日目の模様を日本からの数少ない参加者である八田真行氏がリポートする。

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コミュニティーパネル

 この日最初セッションは「コミュニティー」パネルと銘打たれてはいたが、内容的には主に「ライセンスの互換性」と「ソフトウェア特許」という、GPLv3で解決すべき重要論点3つのうち2つが取り上げられるということになっていた。質問に答えるパネリストは、ストールマン氏やFSFの職員に加えてFSFEから来た欧州の弁護士氏(あいにく名前を失念)である。

コミュニティーパネルの顔ぶれ
コミュニティーパネルの様子。左から3番目がFSFEの人

 質問自体は商標の扱いや無保証性の問題など昨日の議論の続き、あるいはそもそもGPLv3における変更点とは直接関係のない一般的な質問といったものが多く、それほど新味はなかったと言わざるを得ない。ただ、結局同じところに質問が集中するというところから見て、議論を尽くして修正すべき点を洗い出すという意味では大いに意味があったのではないかと思う。FSFEの人が来ているということもあってか欧州におけるソフトウェア特許の問題についての質問が出ていたが、この辺りの事情については以前筆者が別のところで書いたものがあるので興味があればそちらを参照して頂きたい。なお、反ソフトウェア特許条項の具体的な文面に関する質問は幾つかあったが、さすがにソフトウェア特許を支持する人からの質問はなかったように記憶している。本当は、むしろそういった賛成派からの厳しいつっこみこそを期待したいところなのだが……。問題なのはソフトウェア特許そのものではなく制度の設計やその運用ではないのか、という批判は十分成り立つ可能性がある。誰かやってくれないものか。

リチャード・ストールマン氏
なぜか質問者席から質問に答える御大。あれ、この服は……
Overfiend
質問に立つブランデン・ロビンソン氏(現Debian Project Leader)

 途中、GPLが契約(contract)か否かでフロアから(筆者からのも含めて)質問が集中した。初日のリポートでも指摘したように、GPLを始めとしたソフトウェアライセンスは契約とみなす「こともできる」。特に米国以外でGPLを契約とみなすことに積極的意味があるのなら、あえて明確化しなくても良いのではないかと筆者には思えてならないのだ。この点に関しては、筆者が思っていた以上に米国内でも意見が分かれているらしく、開発者のみならず米国の法曹関係者と思しき人からも質問が出ていた。しばらくストールマン氏は回答を試みていたが、最後にはあきらめて一言、「エベンが帰ってくるのを待って(モグレン教授は別室に集められた報道関係者への対応で相変わらず忙殺されていた)彼に聞いてみないと、はっきりしたことはいえないね」。

 印象に残ったエピソードを一つ披露しておきたい。セッション開始早々ラップトップを起動した人がいたのだが、GNU/LinuxでもMacOSでも、もちろん*BSDでもない某OSのあの起動音が大音量で鳴り響いた。「あのねえ」とあきれたようにストールマン氏。「あなたは本当に自由な世界に脱出しなければならないよ、そのために22年もやってきたんだ(GNUプロジェクトの開始は1984年)。今じゃわたしたちのソフトウェアをインストールするだけで脱出できるんだし」。

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