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「Xenは間違いなく仮想化の主流に」――VAリナックスXenSummitインタビュー(2/2 ページ)

オープンソースの仮想化エンジン「Xen」。今後の開発方針を決めるXen Summitが1月に開催された。そこでは何が話し合われたのか? 現状のXenが抱える機能的な問題点などを含め、同Summitに参加したVAリナックスの山幡為佐久氏に話を聞いた。

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山幡 さまざまな設定や運用上の工夫が必要になることでしょうか。例えば、CPUロードバランスがまだ存在しないため、SMPゲストの時は、CPUバインド機能を使った方が良いとか、もしくは2個ぐらいに抑えた方が良いなどのノウハウがあります。今のXenは、こういった細かな部分を手動で設定してやる必要がありますね。

 各種I/Oデバイスの仮想化という問題もあります。Xenでは準仮想化という手法を取っているので、それぞれのデバイス種別(ディスク、ネットワークなど)に応じて仮想化する必要があります。グラフィックやUSBといったデバイスの仮想化は対応が行われている最中です。

 また、今後はハードウェア側でもIOMMUといった仮想化を支援する機能がサポートされます。Xenでもそういった機能をうまく扱えるようにしていく必要があるでしょう。

ITmedia VAリナックスとしてこのXenSummitに参加する意味は何でしょうか? 何か今後の開発に密接に絡むのでしょうか。

山幡 私は技術者ですので会社の戦略についての詳細までは分かっていませんが、少なくとも仮想化技術がITビジネスにおいて重要な位置を占めることを見越した上で、一刻も早い開発と技術力蓄積を狙っているということでしょう。少なくとも国内ではこれだけXen開発へのコミットを行っている会社は超大手を抜けば弊社だけだと思います。

 今回のSummitでコンセンサスが取れたと考えていますが、VAリナックスとしては主に大型サーバ向けに関連した開発を各社と協調して行っていくことになります。

 x86版だけでなく、大型サーバで使用されるIA64版の機能強化および大型サーバでも性能を出せるようにしていく予定です。具体的にはIA64版でVP(Virtual Physical)と呼ばれる機能実装をVAリナックスが担当します。それ以外にも、障害解析のための機能追加や品質安定化を行います。

ITmedia VAリナックスはまだXenのビジネスを立ち上げていないように見えます。今後、VAリナックスとしてXenビジネスはどのように?

山幡 Xen 3.0では基本機能は揃っており、仮想化でよく言われる性能面においても自己責任で使うような範囲で利用する分には問題はないでしょう。現状のXenのネックは、管理ツールが揃っていないこと、品質面でまだ若干の問題を抱えていることが挙げられます。このため、現時点においては製品として販売するような品質ではないというのが弊社の見解ですが、Xenの開発とQAの速度は非常に早く、数カ月以内にこれらの点も解消されるでしょう。技術的な面から見てもオープンソースの世界においてXenが仮想化の本流となるのは間違いないと思います。

 VAリナックスとしては、現時点では各社と連携してXenの機能および性能強化、安定化に取り組み、市場に安心して出せるレベルにまで押し上げることを最優先としています。弊社のXen関連ビジネスがどのような形態になるのかはまだ発表できる段階ではないと思いますが、おそらく幾つかの会社と組んだ上で、仮想化ビジネスを立ち上げていくことになるでしょう。その時には、不安定なXenを出荷して既にビジネスを行っているようなベンダーとは異なり、われわれVAリナックス自身がXenの開発そのものへ密接に絡み、あらゆるノウハウと知識を有しているという事実がそのビジネスの推進力となると思います。

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