XMLデータベース市場に追い風、その活用法は?(2/2 ページ)
XMLの浸透に伴い、XMLデータベース市場が急拡大している。XMLデータベースが生きる領域はどこなのか、さらに広く使われるための課題は何なのか。
大規模なXMLデータを取り扱ったり、既存システムの統合を行うようなシステムでは、高速処理や柔軟性だけでなく、システムとしての信頼性などの新たな要求が出てくる。特に便利なシステムであればあるほど、システムの運用継続性に対するユーザーからの要求は高い。
市場シェア上位に位置する製品群では、これら要求に応えるために情報系とはいえ、トランザクション性能の向上や冗長性確保のためのクラスタシステムへの対応、バックアップ/リカバリ機能の強化などがなされてきた。
さらにコンプライアンスなどの要求に応えるには、セキュリティやアクセスコントロール機能の実現も次なる課題だ。現状ではXMLデータベースの上の、アプリケーションレベルでこれら課題を克服している。今後はXMLデータベース本体の機能として、より強力なアクセスコントロール機能などが求められることになる。
標準化や開発環境の充実がカギ
XMLデータベースは、第二世代に入って改めてその地位を確立してきたため、成長段階の過渡期にあるといえる。この段階を乗り越えて確固たる地位を確立するには、標準化などの推進でXMLデータベースを扱う技術者参入の敷居を低くすることが重要だ。
現状のシステム開発現場では、データのリポジトリ先としてRDBを想定するのが普通だろう。技術者が真っ先に考えるのは、どのようなテーブル構成にすれば効率的にデータを扱えるかということになる。この性格のデータであればXMLデータベースにすべきか、RDBにすべきか、DBを決める前段階で十分な考察が必要なのだ。
XMLデータベースとRDBは、競合するものではない。双方の特徴を生かすことにより、住み分けることができる。このことを理解した開発技術者をいかに増やせるかが、XMLデータベース市場の拡大をより加速できるか左右しそうだ。
XMLデータベースがニッチな市場から脱すると同時に、既存システムとの連繋や使いやすい開発環境も求められている。各社はJavaからアクセスするためのAPIや周辺ツールなどを整備しているが、まだまだ十分便利な環境が整っているとは言い難い。普及しているGUI型の開発ツールとの親和性の強化など、開発環境の改善も要求は高まりそうだ。今後、開発者に支持されるXMLデータベースとなれば、その製品は市場拡大の勢いを超えるシェア獲得も可能だろう。
仮に2008年に60億円程度の市場規模になったとしても、2004年にすでに1465億円もあったRDB市場の実績から比べるとば、それはわずか4%程度にすぎない。実際に、XMLに向いた柔軟性を要求するデータは、この市場規模感以上に存在すると思われ、市場ポテンシャルはもっと大きいのではないだろうか。
システム構築時にXMLデータベースかRDBかを選ぶような観点でアプローチしてしまうと、圧倒的な実績を誇るRDBに偏った選択がなされるかもしれない。昨今では、そういった選択ではなく、ソリューション提案から結果的にリポジトリにXMLデータベースを採用するという案件が増えているという。機能や性能の星取表(○×表)を作って比較する時代は過ぎ、実現したい目的の解決にXMLデータベースが適していたというアプローチで、顧客の信頼が得られるようになってきたのだ。
XMLデータが生きるコンテントマネジメントやドキュメントアーカイブなどの市場の発展が、さらにXMLデータベースの市場を後押しすることになる。機能や性能を競い合う時代を経て、どう使いこなすかの時代の波にうまく乗ることが、XMLデータベース市場の追い風をつかむことになりそうだ。
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