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公共放送局がオープンソース・ソフトウェア・ポータル開始(1/2 ページ)

ある小さなラジオ局が、非営利放送局向けオープンソース・ソフトウェア・コミュニティーを開始した。公共放送局にはコミュニティーが求める情報を提供するソリューションがまさに必要とされている。

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 先月、ニューヨーク州北部の小さなラジオ局が、非営利放送局向けオープンソース・ソフトウェア・コミュニティーを開始した。独自のコンテンツ管理システム(CMS)がこのサイトの最初のプロジェクトとしてホストされている。

 ニューヨーク州カントンのNorth Country Public Radio(NCPR)は27局で構成されるラジオ放送ネットワークだ。NCPRは2月20日、PubForgeを立ち上げた。このサイトは、公共放送局向けフリー/オープンソースソフトウェア(FOSS)センターとして作られた。NCPRのWebマネジャー、ダール・ホブソン氏は、こうした情報を一個所に集めて簡単に利用できるようにすることで、公共放送各局がサイト自動化によってWebをより有効に活用する助けとなると話す。

 PubForge初の目玉プロジェクトはPublic Media Manager(PMM)。ホブソン氏とNCPR社の前Webマネジャー、ビル・ハーネル氏が作成した。サイトのPlaypenでデモを見ることができ、3月3日にはバージョン1.3がSourceForgeのPMMサイトでリリースされた。

 PMMではWebサイトコンテンツの作成とポスティングの機能の一部が自動化されている。インタフェースはブラウザベースで、ライセンスはGNU General Public License(GPL)に基づいている。

 Web担当者が一人しかいないような小規模の放送局にとっては、オンライン開発の唯一の手段は自動化フリーソフトウェアではないだろうか、とハーネル氏は話す。公共放送局は公共事業と助成金に支えられており、その予算は限られているからだ。同氏がPMMの開発中、コンテンツ管理自動化ソフトウェアを使用している公共放送局は独自のソリューションを持つ局に限られ、しかも大手に集中していると分かったが、意外ではなかったという。

 National Public Radio(NPR)系列でニューヨーク市にあるWNYCでは、独自に開発したコンテンツ管理システム(CMS)で同局のWebサイトの全管理を行っている、とWNYCの双方向メディアディレクター、ビル・Swersey氏は話す。CMSやそのほかのアプリケーションを公共放送局が簡単に無償で手に入れられ、放送局が互いに協力してソフトウェアを開発できるようになるとしたら、それはラジオ業界のこの分野にとってよいことだと同氏はいう。

 同氏は、「こうしたツールには独自に開発しているのではそれ以上進化しないものもあります。このような共同開発は有意義です。それに公共放送業界には元来コミュニティーの気風があります」という。

 同氏によれば、WNYCでは、開発したCMSの一部をオープンソース化してPubForgeで公開することも検討しているが、具体的なことはまだはっきりしていない。新しいユーザーに簡単な説明以上のサポートを期待されるのではという点が目下の懸案事項だが、最終的にはなんらかを公共放送局に提供できるだろうと話した。

 ハーネル氏は、PubForgeの主要目的の一つは、オープンソースソフトウェアと公共ラジオが予想どおり相性の良い組み合わせかどうかを見極めることだという。「公共放送とOSSには共通点があります。共同作業でコミュニティーを形成していることです。どちらもその点を基盤にして成り立っています。コミュニティーによるコミュニティーのためのメディア運営が焦点です。ツールはまずそこから始まるでしょう」

最初のプロジェクトの始まり

 NCPRは2000年、同放送局ネットワークのWebサイト作成のためにハーネル氏とホブソン氏を採用した。ハーネル氏は、サイトの基本アーキテクチャーと設計の作業を行った半年間で、実際に必要とされていたのはNCPRの全オンエアコンテンツをオンラインにすることだったと分かった。

 ホブソン氏によれば、二人はラジオ局が求めるプログラミングを「永久に、そして無料で」提供するために、その仕事の一環としてPMMの開発を始めた。リスナーにコンテンツを電子メール、ダウンロード、ポッドキャスティングで提供できるようにした後は、このCMSプロジェクトでコンテンツのオンライン化プロセスを「脱プロ化」することを目指した。Web開発者に頼まなくても記者や編集者が自分でサイトを更新できるようにすることが必要だった。

 ハーネル氏は、このソフトウェアではWeb開発者が個別にページを構築してWebにポストする必要性が削減されるという。「わたしたちが開発したアプリケーションではWebの専門要員も経費も要りません。自分たちが(コンピュータで)何をしているのか分からない人にも使えるオープンソースソフトウェアだからです」

 PMMはApache環境で稼動し、放送局のインターネットサービスプロバイダーが運用するサーバでホスト可能だ。ユーザーはWebベースのフォームでシステムとやり取りする。トランスクリプト(文字おこし)とポッドキャスティングに対応しており、テキスト、トランスクリプト、コンテンツのそのほかのパッケージオプションにも拡張可能だ。PMMではポッドキャスティング用ヘッドラインが自動生成され、指定したファイルをポッドキャスティング対象にできる。

 ホブソン氏は、PMMがうまくいっているのは「PMMに持続的関心のある人間がこの宇宙に少なくとも一人は存在している」からだという。NCPRはPMMを3年以上利用および改善してきており、リスナーに提供する7000件以上の情報のデータベースを維持する上でPMMはなくてはならないものになっているという。

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