SNSは地域活性化の起爆剤になるか? 地域SNS実証実験を考える:激変! 地方自治体の現実(2/2 ページ)
ソーシャルネットワーキングサービスで地域を活性化しようという取り組みが注目を集めている。総務省の地域SNS実証実験として選ばれた東京都千代田区の地域SNS「ちょっピー」のケースから地域SNSの意義を考える。
2006年度は「まちかどリポーター」を用いた地域SNS実験の予定
総務省が公開している「住民参画システム利用の手引き」という資料を見ると、地域SNS導入・運用に掛かる費用の例として、「三重県における電子会議室」では導入経費3560万円(開発、GIS費用などを含む)、年間運用経費520万円。「八代市における地域SNS」では導入経費約22万円、年間運用経費はほとんどなし、という具体的な数値が参考データとして記述されている。
今回の地域SNS調査研究事業と公的個人認証サービス対応アンケート調査研究事業には、2005年度総務省予算として1億100万円が計上されており、開発・運用経費として使用されたと思われる。地域SNS調査研究事業ではNTTデータ・コミュニティー・プロデュースが、公的個人認証サービス対応アンケート調査研究事業では松下電器産業パナソニックシステムソリューションズが事業者として選定された。
総務省の資料によれば、今回の実証実験におけるハードウェア関連の費用は、千代田区と長岡市で共有したデータセンター関連費用が約51万円(3カ月)、ネットワーク機器関連の費用が約84万円で、それぞれのサーバ関連費用は約75万円。SNSの基本システムは、OSはCentOS、ミドルウェアもオープンソースソフトウェアを活用して構築されており、その上に熊本県八代市の職員が開発したオープンソース「open-gorotto」をベースとするSNSソフトウェアが稼働している。
今後の展開について、三浦氏は次のように説明する。
「実証実験終了後も『ちょっピー』は継続運用していくことになった。今後も長岡市と共同でサーバを利用するが、月間約15万円の運用経費が掛かるため、2007年度以降については運営体制、経費などについて再検討の必要がある」
2006年度においては、財団法人地方自治情報センターが今回の実証実験を引き継いで、e-コミュニティー形成支援事業における「住民参画モデルシステムを利用した地域のコミュニティー形成のための実証実験」を行う。地域SNSの実証実験では情報を発信する役割を担う「まちかどリポーター」を公募し、研修受講させた後に活動させて、地域SNSにおいてコミュニケーションの活発化を図る考えだ。このために500万円を上限とした助成金を用意しているという。
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