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SAPもオンデマンドCRMを提供、「インハウス」への移行パスで差別化

SAPジャパンは同社のCRM機能をASP形式で提供するいわゆるオンデマンド製品「SAP CRM On-Demand」を中堅企業向けに同日から開始すると発表した。

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 SAPジャパンは4月24日、都内で記者発表会を行い、同社のCRM機能をASP形式で提供するいわゆるオンデマンドサービス「SAP CRM On-Demand」を中堅企業向けに同日から開始すると発表した。同社バイスプレジデント、ストラテジックソリューション本部長を務める三村真宗氏は「将来的にシステムを拡張する可能性のあるユーザー企業が後に自社内でERPを導入したいと考えた場合に、mySAP CRMなどの同社プラットフォームにスムーズに移行できる」とサービスの特徴について話している。


「業務プロセス間の連携が多くなるとオンデマンド製品ではシステムが複雑化、硬直化する傾向がある」と指摘する三村氏

 SAPの戦略は、まず初期導入コストの低いオンデマンド型のアプリケーションの選択肢をユーザーに提供すると同時に、ユーザー企業がビジネス拡大に伴って自社内にアプリケーションを構築したいと考えた場合に、スムーズな移行パスを示すことで、salesforce.comやSiebel On Demandなどの競合製品との差別化を図るものとなっている。

 ユーザー企業が実際にオンデマンドから通常のmySAP CRMに移行する際には、データモデル、パラメータロジック、ユーザーインタフェースが同一であることにより、移行が容易という。一方、ほかのオンデマンド製品を利用しているユーザー企業は、もし自社内にシステムを持ちたいと考えると、基本的には製品選択を含めて最初から導入をやり直すことになり、負担が大きくなってしまう。

 新製品の技術的な基盤には「分離テナント型」を採用しているという。従来のASPの形態においては、ユーザー企業ごとに1つのシステムをデータセンター内に構築する「シングルテナント型」と、多くの企業がハードウェアとデータベースを共有する「マルチテナント型」があるが、前者は運用する側の管理負担が大きくなること、後者には、1つの企業のアプリケーションに障害が起きると、インフラをともにしているすべての企業に影響が及んでしまうという欠点があった。

 分離テナント型はそのデメリットを避ける一方で、双方の可容性、安定性、コストといったメリットを「いいとこ取り」しようといった形態だ。

 SAP CRM On-Demand 日本語版の出荷は4月25日から。ソフトウェアの開発と販売はSAPが行い、運用はSAP Hosting、サーバ運用はIBMにそれぞれ委託する。なお現状は、サーバを運用するデータセンターは米国と欧州にあり、今後、ビジネスの状況次第でアジア太平洋、あるいは各国に新たなセンターを設立する可能性もあるという。

 また、ライセンスモデルは、単一コンポーネントを利用する「標準ユーザー」は1ユーザーあたり8400円、フルコンポーネントを利用できる「エンタープライズユーザー」は同1万4000円となっており、契約ユーザー数や期間に応じてディスカウントすることもある。現状は2月2日にSFA機能がリリースされ、4月25日にマーケティング機能が追加された。今後は7月に保守サービス、コンタクトセンター、10月にルールベースマーケティングなどの機能強化版の製品をリリースする予定。四半期に1回のペースで新たなバージョンを送り出す方針を打ち出している。


SAP CRM On-Demandのイメージ図

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