シンクライアントシステムを実現する仕組み:シンクライアントの真価を問う(3/3 ページ)
シンクライアント実現する方式にはどのようなものがあるのだろうか。方式や製品ごとにその仕組みを説明する。
米GraphOnが開発しており、WindowsやLinuxをはじめとする各種OSで利用可能である。APIトラップ方式を採用しており、見た目は画面転送型と似ているが、実際は画面ではなく「画面描画命令」を端末に対して送っている。このため、WTSなどのようにデスクトップ画面全部を描画するのではなく、Go-Globalサーバ上で動作させている「特定のアプリケーション」の画面だけをクライアントに表示する。画面描画命令を端末に送っているため、画面描画型と比べると転送データ量が少なくて済む。
Sunが提供しているシンクライアントソリューションである。WTSやCPSでは、端末は汎用OSもしくは専用ハードウェアのどちらかを選べるのに対し、Sun Rayの場合、利用できるのは専用ハードウェア端末のみで、「PC+ソフトウェア」という端末は存在しない。
特徴的なのは、ICカードによるユーザー認証を採用していること。認証後はそのユーザーの画面を一意に呼び出すことができる。筆者は勤務先で、Sun RayとWTSを組み合わせたシンクライアントソリューションを利用している。
これまでの製品と少し毛色は違うが、VMWareもシンクライアントソリューションの1つとしてとらえることができる。
VMWare上に複数のクライアント系Windowsを動作させる仮想マシンを起動しておき、その仮想マシンに対してリモートデスクトップ接続を行うことで、シンクライアントのような使い方をすることが可能になる。つまり、ブレードPC型シンクライアントシステムと似たような仕組みを、VMWareでも実現できるわけだ。VMotionと呼ばれるツールを用いて、稼動状態の仮想マシンを他のVMWareの上に移動する(ライブマイグレーションとも呼ばれる)ことも可能である。
端末の種類
シンクライアントの実現方式は、上記に挙げた4種類が主流で、サーバ製品も数えるほどだ。しかし端末側を見ると種類は多い。
- ハードウェアによる専用端末
- PCに端末ソフトウェアをインストールするもの
- 端末ソフトウェアをActiveXコントロールをはじめとするプラグインで実現するもの
- 専用のCD-ROMなど、読み出し専用メディアでブートするもの
などがある。例外はSun Rayで、Sun Rayは完全に専用ハードウェア端末しか持たない。
宮本 久仁男
1991年NTTデータ入社。OS開発・維持管理、Web-DBシステム開発と管理、社内技術支援、CIOスタッフなどを経て、現在は技術調査業務に従事する。プライベートでもOSやネットワーク、セキュリティ関連技術に興味を持ち、各種検証や発表/講演を行っている。PMP、RHCEなどの資格を持ち、個人としてMicrosoft MVP (Windows - Security)を受賞している。
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