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OfficeをSAPプラットフォームに――Duetはどこまで成功するか(3/3 ページ)

MicrosoftとSAPが共同開発した「Duet 1.0」により、ユーザーはOutlookからSAPのERPアプリケーション「mySAP」に自分でアクセスできるようになる。ただし、Duetを拡張したりカスタマイズしたりするためには、パートナー各社は後続のリリースを待つ必要がある。

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 Duetのセカンドバージョンのほかにも、同製品の将来を左右するであろう要素が幾つかある。例えば、中小規模企業向けのビジネスアプリケーション市場におけるMicrosoftとSAP間の競争の高まりもその1つだ。SAPは中規模市場向けに2種類のERP製品を販売している。1つは売上高が10億ドル未満の企業をターゲットとした「SAP All-In-One」で、この製品のターゲットはMicrosoft Business Solutions(MBS)部門の「Dynamics AX」や「Dynamics GP」とほぼ重なっている。もう一方の「SAP Business One」は従業員が250名未満の企業をターゲットとした製品で、「Dynamics NAV」のほか、「Dynamics GP」のスタンダードエディションと競合している。これらの中規模市場向けアプリケーションは今現在は、どちらの会社にとっても売上の主流ではない。だが両社とも野心は旺盛だ。MicrosoftはWindowsとOfficeの成長の減速をこれらの製品で相殺したいと考えており、SAPもこれらの製品でエンタープライス市場におけるERPの販売機会の減少を相殺したいと考えている(MBS部門は2006年2月、Duetへの対応策としてDynamics Snapを出荷した。Dynamics Snapは、ユーザーがOfficeアプリケーションからDynamics AX 3.0とDynamics CRM 3.0に自分でアクセスできるようにするための無料プログラムのセットだ)。

 同じく、Duetの機能セットの拡張により、SAPのそのほかの製品が周辺的な立場に追いやられたり、存在を脅かされたりする可能性も考えられる。例えば、DuetによってOutlookからアクセスできるセルフサービスプロセスや事業区分別プロセスが増えるに従い、SAPのEnterprise Portalの売上は減少することになるだろう。Duetがもたらすメリットよりも、そのほかの重要なビジネスラインに及ぶ犠性のほうが大きいということにMicrosoftやSAPが気付いた場合には、このプロジェクトをめぐる継続的なコラボレーションに対する両社の熱意も冷めることになるかもしれない。

Duetのリリース形態

 Duetは2006年6月にリリースされ、顧客は同製品をMicrosoftからでもSAPからでも購入できる。ただし、流通とライセンス方針はMicrosoftとSAPで異なる。MicrosoftはDuetを直販とリセラー経由の両方で提供する。Client Access License(CAL)は125ドル。SAPは価格を発表しておらず、また、いずれはパートナー企業を介して提供する予定ではあるものの当初は直販のみでDuetを販売する方針という。MicrosoftとSAPのどちらからライセンスを取得するにせよ、DuetユーザーはmySAPアプリケーションのEmployee Userライセンスも取得する必要がある。

 Duet 1.0では、最低でもOffice 2003 Standard Editionが必要となる。ただし、Value Pack 1のリクルーティングアプリケーションではInfoPathも必要となる。InfoPathはOffice 2003 Standard Editionには含まれていないが、Office 2003 Professional Enterprise Editionには含まれている。さらに顧客は、Exchange 2003とmySAP ERP 2004も必要とする。

 Duet 1.0は当初、英語版が提供される。フランス語、ドイツ語、日本語、ポルトガル語、スペイン語のサポートは、2006年第3四半期にリリース予定の最初のバリューパックで追加される。

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