Googleははたして、企業のIT部門をコストセンターから、プロフィットセンターへと変貌させることができるだろうか――その可能性は十分にある。
マサチューセッツ工科大学が主催した「2006 CIO Symposium」の基調講演で、こうしたやり取りが行われた。聴衆の質問に答えたのは、基調講演の論者で、Googleの副社長兼ゼネラルマネジャーのデイビッド・ギロード氏である。同氏は、Googleのエンタープライズ事業全般を統括している取締役だ。
ギロード氏は講演とその後に行われたインタビューの中で、Googleがエンタープライズ分野で実現させたいと思っているアイディアの1つに、企業内検索においてGoogle検索技術とコンテキスト広告を連動させて用いるというものがあると述べた。
インタビューでは、企業向け電子メールおよびオフィス生産性アプリケーションに関する同社の戦略や、オフィスアプリケーション分野で競合するMicrosoftへの見解も明らかにされている。
コンテキスト広告が表示されるエンタープライズ検索について、ギロード氏は「非常に興味深い試みだ」と話した。
広告をベースとするこうした検索システムの開発は、まだ単なる可能性にすぎないが、多くの広告主が企業内の検索を活用できるようになることを歓迎するだろうと、同氏は指摘している。もっとも、検索サービスを企業の社内ポリシーやコンプライアンス要件に適合させるには、多数の問題を乗り越えねばならないという。
「エンタープライズ検索は、より広範な(消費者向けの)検索と同等の影響力を持つようになるはずだ」(ギロード氏)
ギロード氏はまた、検索技術が今以上に強力になれば、タギングに基づく戦略は脇へ追いやられる可能性があると論じている。「情報にタグを付与して体系化するあらゆる取り組みには、不備があるように思う。(中略)われわれは、情報にタグを付与する必要するにないと考えている」(ギロード氏)
ギロード氏は、Googleのエンタープライズ戦略の核となっているコンセプトとして、次の4点を挙げた。
- エンドユーザーに注力すればほかの分野でも成果が上がる
ギロード氏によれば、Googleは創立当初から、こうした考え方を事業方針の要として掲げてきたという。
- 単純なサービスほど普及する
Googleサイトで検索を始めようとするユーザーにあいさつするデザインが採用された、同社のシンプルな検索バーがその好例である。1997年以来、同検索バーの外観はほとんど変わっていない。ただし、検索サービスを支える技術は大幅に進化した。
- エンタープライズ検索はより広範な(消費者向けの)検索と同等の影響力を持つ
- 解決すべき問題はシングルサインオン
エンタープライズ戦略に取り組むGoogleエンジニアの現在の最優先課題がシングルサインオンだと、ギロード氏は述べている。
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