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まず、間違いだらけの電源環境をチェックしよう備えは万全? サーバの災害対策(4/4 ページ)

コンピュータが企業の業務にとって欠かせないものになった現在、障害によってコンピュータが停止してしまうと、大きな損害が発生することある。「障害でも止まらない」または「障害発生時は最小限のダウンタイムでとどめる]ための対策はちゃんとしているだろうか? また、一言に「障害/災害対策」といっても大規模なものから身近なものまでさまざまだ。今回はコンピュータの障害でもっとも身近かつよく発生するだろう「電源トラブル」について考えてみよう。

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Check Point 3:UPSの使い方、間違ってない?

 「うちはUPSを導入しているので安心」と単純に考える管理者は少なくない。だが、そのUPSを正しく使っているだろうか。

 大きな勘違いは、「UPSがあれば停電時でもダウンしない」というもの。言葉を変えると、「停電時でもサーバが使える」という思い込みだ。

 UPSは確かに「無停電電源装置」である。だから、その思い込みはあながち間違いではないように思える。しかし、そもそもUPSとは、蓄電したバッテリーで停電からの保護を行うものである。あくまでもUPSに蓄えられたわずかな電気でサーバを動作させる機器なのだ。つまり、正しいUPSの使い方は、停電時にサーバをシャットダウンさせるまでの間の電源を確保するというものである。

 もちろん、数分程度など、停電がごく短い時間で終わるのなら、その間のサーバ電源を供給することは可能である。しかし、これは例外的なケースと思った方がよい。なぜなら、停電の時間は予測不可能だからだ。会社のブレーカーがしばしば落ちるので、その復帰までの間の保護にUPSを使うというケースもあるだろうが、それもまた別問題で、本来ならば会社の電源容量をアップするなどの根本的な問題解決を行うべきである。

 停電時でもシステムをダウンさせないためにはUPSでは不十分であり、自家発電装置が必要となる。大企業やデータセンターなど規模の大きなところでは自家発電装置を備えているところも少なくない。自家発電装置に分類されるものは、UPSとは異なりディーゼルエンジンを使って発電する。UPSは、この自家発電装置が起動し、安定して電力を供給できるようになるまでの間のつなぎとして使われる。

 UPSの使い方で多いもう1つの間違いが、「UPSをつないであるから大丈夫」というものだ。サーバ管理者なら知っていることだが、UPSは単にコンセントにつなぐだけではだめで、制御信号も接続しなくてはならない。安価なUPSの中には制御信号を持たないものがあるが、これらのUPSはサーバ用ではなくあくまでもクライアントPC用である。停電発生時には誰かがPCを操作していることを前提にしているため、停電が起これば手動でシャットダウンすれば良いという考え方だ。

 これに対しサーバでは、管理者が不在であっても、停電時に自動シャットダウンが行われる必要がある。このためには、制御信号の接続が必須となる。

 制御信号は以前はシリアル接続が多かったが、最近ではUSBまたはネットワーク経由で行うものが多い。なお、UPSで保護すべきはサーバだけだと思いがちだが、ネットワーク経由で制御している場合には当然、その経路も保護すべきなので、途中に存在するハブやスイッチもUPSにつないでおく必要がある(図4)。ハブやスイッチは意外に見落としが多く、コンセントに挿しておけば良いと思いがちである。


図4 サーバだけでなく、ネットワーク機器もUPSで電源を確保しよう

 また、クライアント/サーバ環境でシステムを運用している場合、より安全にシャットダウンするためには、クライアントが処理を完了してからサーバをシャットダウンしなければならない。この場合は、クライアントもUPSで保護された上で自動シャットダウンが行われるべきであろう。

 では、すべての機器をUPSにつなげば安心かというと、そうではない。膨大な電力をまかなうUPSは、非常に高価である。このため、UPS を最も効率良く使うには、何が保護されるべきであるかを明確に把握し、意識することだ。例えば、極端な話、停電時にプリンタが使える必要はないし、スキャナが使える必要もない。UPSは、言わば“保険”である。保険をかける必要のないものに、わざわざ保険料を支払う必要はないということだ。

このコンテンツはサーバセレクト2005年10月号に掲載されたものを再編集したものです。


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