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コラム

HP Integrityサーバシリーズの新ラインアップからItaniumの未来を読む元麻布春男のマシンレビュー(2/3 ページ)

x86プロセッサの高性能化により、性能面でのアドバンテージが少なくなってしまい、将来を疑問視されることもあるItaniumだが、2006年4月にHPが発売した機種を見る限り、メリットや性能以外の部分ではアドバンテージがあると見える。今回は、HPがIntegrityシリーズのラインアップから、Itaniumの現状と将来を見てみよう。

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デュアルコアItaniumに対応したsx2000チップセット

 sx2000チップセットは、セルコントローラ(開発コード名Skyline)、メモリコントローラ(同Abajo)、PCI-Xシステムバスアダプタ(同Escalante)、PCI-Xホストブリッジ(同Gemini)、セルコントローラと対になるバックプレーン側のクロスバチップ(同Moab)の5種類で構成される。セルボードに1つ実装されるセルコントローラは、通常のチップセットのノースブリッジに相当するもので、プロセッサバスとメモリコントローラへのインターフェイスを備える。

 最大の特徴は次世代のItanium 2プロセッサ、デュアルコアのMontecitoに対応していることで、プロセッサバスのクロックはMontecitoと同じ最大533MHzをサポートする。sx1000は400MHzだったから、プロセッサバスの帯域は1.33倍になったことになる。Montecitoのさらに次の世代のMontvaleも、同じプラットフォームが利用可能であり、sx2000チップセットもMadison 9M(現在のItanium 2)、Montecito、Montvaleの3世代にわたって利用可能だ。もちろんPA-RISC(PA-8900)との互換性も維持しており、セルボード単位で1つのシステム内で混在させられる(Superdome)。

 セルコントローラとIntel純正のE8870チップセットとの違いは、E8870が1本のプロセッサバスに最大4つのプロセッサを接続する仕様であるのに対し、HPのセルコントローラ(sx1000/sx2000)は、2本のプロセッサバスを持ち、それぞれが2個のソケットをサポートすることだ。これにより、デュアルコアプロセッサへアップグレードしても、各コアに十分なバス帯域を提供することができる(sx2000)。sx1000にも、2つのItaium 2を搭載したmx2デュアルプロセッサモジュールが提供されている。


図2 HPのハイエンドサーバ=セル・クロスバー方式

 sx2000のメモリコントローラは、DDR2-533メモリに対応したことで帯域が2.1倍に拡大された。セルボードあたり4個のメモリコントローラを搭載可能で、それぞれのコントローラに8枚のDIMMを接続できる(計32DIMM)。用いるDIMMは、2カ所のエラーでも運用を継続可能なダブルチップスペアリングをサポートした独自のもの。現在提供されているのは1GB DIMMだが、2006年後半には2GBDIMMの提供も始まることになっている。2GBDIMMを用いることでセルボードあたり、最大64GBのメモリ実装が可能になる。

 sx2000で大きく変わったことの1つは、クロスバーバックプレーンへの帯域が大幅に拡大されたことだ。セルボードとMoab間の接続が3重化されたことによるもので、1本あたりでも1.4倍に広帯域化されているから、3重化と合わせて計4.2倍の帯域が提供される。また、このクロスバー接続は、いずれか2つが切れても、リブートなしに縮退運転できる。

 同じく4倍以上の広帯域化がはかられたのがセルコントローラとPCI-Xシステムバスアダプタ間の接続だ。HSS(High Speed Serial Link)と呼ばれる高速シリアルインターフェイス(3.2Gbps)により、4.4倍の帯域を提供する。バスもPCI-XからPCI-X 2.0へとアップデートされた。この夏には、PCI Expressのサポートも始まる予定だが、シャシーやセルボードはそのままで、I/Oサブシステムの交換だけで利用可能になる見込みだ。

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