「.NETはJavaを打ち負かした。次の相手は誰だ?」とMS
「われわれはJavaを打ち負かしたが、開発ツールはまだ成長の余地がある」――。Microsoftの上級幹部はこう述べた。同社は開発環境の成長のためにどのような手をうっているのか。
「MicrosoftはJavaを打ち負かしたが、開発ツールの分野ではまだ成長の余地がある」――同社の上級幹部はこのように述べた。
7月27日にワシントン州レドモンドで開催されたMicrosoft FAM(Financial Analyst Meeting)でスピーチを行ったMicrosoftのサーバ/ツールビジネス担当上級副社長、ボブ・マグリア氏によると、.NETプラットフォームはこの5年間でJava(特にJava Enterprise Edition)を追い抜き、エンタープライズ開発で最も人気のある開発プラットフォームになったという。
「われわれは5年前、J2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)に苦戦していた。しかし、われわれは4分の1という市場シェアから、現在は60%のシェアを持つまでに成長した」とマグリア氏は語った。Microsoftは、Webcastを通じてFAMのプレゼンテーションを公開した。
「J2EEは勢いを失った」とマグリア氏は言う。
しかし同氏は、Microsoftはデータベースおよび開発ツールの分野で強みがあるとしながらも、「われわれは両分野で成熟し、当社の製品は高い普及率を示しているが、その数字に見合うだけの売り上げを確保していないと考えている。われわれはエンタープライズ市場にフォーカスすることにより、売り上げベースのシェアを拡大できる」と述べている。
さらにマグリア氏によると、MicrosoftのVisual Studioツールの売り上げのシェアは小さいが、VSTS(Visual Studio Team System)などのツールがこの状況を改善するだろうとしている(関連記事)。また同社では、よりハイエンドのエンタープライズ市場向けにデータベースとツールの販売を強化する方針だという。
コネティカット州スタンフォードの調査会社、Gartnerが2006年5月に行った調査によると、チーム開発ツールの分野ではIBM Rationalが市場をリードし、Microsoft製品の2倍の売り上げを確保していた。Microsoftによると、「Team Foundation Server」のリリースにより、この分野での勝算が高まったという(関連記事)。
しかしチーム開発ツール市場の競争は激しさを増しており、IBM、Serena Software、MKS、AccuRev、TechExcel、さらに最近登場したJetBrainsといった新規参入企業や有力企業がひしめき合っている。
マグリア氏によると、Microsoftではソフトウェアとサービスの融合を目指しており、サーバ/ツール部門もこの動きを後押しするという。「われわれはMicrosoft Managed Servicesといった新たな分野を開拓している。これは巨大な可能性を秘めた素晴らしいビジネスだ」と同氏は語る。
Microsoftのビジネス部門のジェフ・レイクス副社長は、「顧客が本当に求めているのは、ソフトウェアにサービスを付加したものである、というのがわれわれの考えだ」と話す。
一方、Microsoftのチーフソフトウェアアーキテクト、レイ・オジー氏によると、同社が複数の開発スタイルとフレームワークに対応するためには、それぞれ異なるアプローチに適合しなければならないという。
「われわれは企業として、対象ユーザーに合ったフレームワークに投資しなければならず、そのためにVisual Studioを利用するつもりだ」とオジー氏は語った。
加えて、MicrosoftはJ2EEとの競争に目を向けるだけでなく、Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)スタイルの開発方式や、Ruby on Railsなどの軽量型フレームワークなどの問題にも対処する必要があるとしている。
Microsoftはさまざまなタイプの開発方式に応じたフレームワークを作成しなければならない、とオジー氏は語る。例えば、同社はWeb開発分野ではASP.NETを提供し、Ajaxスタイルの開発向けにはAtlasツールを提供している。
マグリア氏によると、2006会計年度におけるMicrosoftのサーバ/ツール部門の売り上げは97億ドルに増え、2007年には同部門の売り上げが110億〜111億ドルに拡大する見込みだとしている。Microsoftはこの成長を促進するために、特にLinuxとの競争において、セキュリティ、Web機能、ハイパフォーマンスコンピューティング各分野での取り組みを強化する必要があるという。
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