コンプライアンスを実現する冴えたやりかた:日本版SOX法への早期対策(2/2 ページ)
「日本版SOX法対策」といえば、今、注目を集める花盛りキーワード。セミナー、イベント、勉強会が至るところで開催されている。ここでは、その対策に必須となるコンプライアンスを実現するひとつのソリューションを紹介する。
ビジネスを効率化するシンプルな答え
オラクルコーポレーションは、全世界で展開しているビジネスの効率化とコスト削減を行うために、2000年から業務改革に取り組んだ。これは、オラクルコーポレーションが公式に発表している利益率向上/コスト削減のための「Global Single Instance」プロジェクトと呼ばれている。
考え方はいたってシンプルである。各地域と国でバラバラに稼働していた業務システムをすべて統合し、論理的に1つのシステムで稼働させた。これにより、ビジネスルール/プロセスに例外を認めず、さらにはさまざまな基準を米国会計基準に合わせた。この業務アプリケーションは、「Oracle E-BusinessSuite」である。
特徴的なのは、オラクルコーポレーションにはファイルサーバが存在しないことだ。業務改革の中でバラバラに存在していたファイルサーバは完全に撤廃され、こちらも論理的に1つのコンテンツ管理システム「OracleCollaboration Suite 10g」で運用されている。
全世界で4万人を超える従業員は、すべてこのシステムでファイル共有が可能になっている。ポータルとして利用されている「Oracle Collaboration Suite 10g」はこのコンテンツ管理機能に加え、メールなどのメッセージング機能、スケジュールを管理するカレンダ機能が含まれており、全世界の従業員が同じシステムを利用している。
実はこの業務システムの統合、コンテンツ管理の統合、メッセージングの統合が、すでにガバナンス強化であり、企業コンプライアンス文化の形成に役立っているのである。この業務改革では、コスト削減と利益率向上などの目標を2004 年までに達成している。同時に、2002年に米国で起きたエンロンの会計不祥事による取り締まり強化、SOX 法制定に伴う対応も行ってきた。
つまり、本来のIT投資の目的を達成しつつ、業務システムをシンプルにし、情報を統合することによってSOX法対応がスムーズに行われたわけである。オラクルでは、コンプライアンス文化を従業員すべてに適切に根付かせるためのオンライントレーニングも実践しているという。
次回は、日本版SOX法対応のための具体的な策を紹介していく。
このコンテンツは、サーバセレクト2006年5月号に掲載されたものを再編集したものです。
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