中小企業に「内部統制」は人ごとなの?:ゼロから始める中小企業IT化への道(2/2 ページ)
広義で言うところの内部統制は、経営の本質に関わる重要な意味を持つ。中堅・中小企業のITは内部統制にいかに関わるべきか。
端的なのがERP(Enterprise Resource Planning)だ。筆者もいくつかのERPベンダーのセミナーに参加して、ERPを導入すれば内部統制が実現できるかのように初めは思えた。しかし、実は内部統制とは「ERP=IT導入」以前の問題である。実際、多くの中堅・中小企業の方はセミナーを通して、そのことに気付いたに違いない。内部統制とは「企業としてのあり方」、つまり、経営の透明性・健全性を組織として機能させることを問うているからだ。
企業として何をすべきか、すべきでないか
下図に示したように、企業のIT導入は右肩上がりで進んできてはいる。しかし、企業としてのモラル、ガバナンス、コンプライアンス(法令順守)などといった「企業が守るべきルール」とITは、今まで本質的にシンクロしているものではなかった。だから、ITを活用して合理化、生産性の向上を図ると同時に、企業としての健全性の確認、確立を図るというギャップに違和感を抱き始めている。
ITの企業への敷延とは別に、内部統制を考えなければならないだろう。とはいえ、内部統制の実現にITが欠かせないということも間違いない。既にITは企業活動にとって否応なしに必要なものになってしまっているからだ。だから企業は、内部統制の実現を、ITを活用したBPR(Business Process Reengineering)を図る良いタイミングととらえなければできない。
まずは「企業とはどうあるべきか」という原点に立ち返る必要があるだろう。中堅・中小企業は、ブームに乗せられる前に「企業として何をすべきか、何をすべきではないのか」を考える時に来ている。
次回はこの連載の最終回となる。まとめとして「中堅・中小企業の成功するためのIT活用の10か条」を提言したい。
関連記事
- IT部門も大混乱? 日本版SOX法に今から備えよう――監査法人トーマツ丸山氏
2008年にも施行されるとみられる日本版SOX法。この法律が成立すればすべての上場企業が影響を受けることになる。しかも、そこではIT部門の役割が重要になってくるのだ。 - 比較すべきは管理会計――財務会計パッケージの新たな選択ポイント
近年ますます重要度が高まっている財務会計パッケージ。しかし市場の多くのパッケージには差がなくなってきている。今、中小企業はどこを選択のポイントにすればよいのだろうか? - 今こそ中堅・中小企業にERPを!
- 分かりやすいセキュリティに敏感な中小企業
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.