緊急提言 第1回「感性を研ぎ澄まし、トップアーキテクトを目指せ」:応援します! 日本のITエンジニア(2/2 ページ)
オンライン・ムックPlus「応援します! 日本のITエンジニア」では、ITプロフェッショナルと開発者の明日を考える「緊急提言」を業界の識者からいただいた。第1回は、アイ・ティ・イノベーションの林衛社長。
幹部は必要な人材像を描け
わたしは20年ほど前に英国や米国でITを学んだ。そのとき感じたのは、日本は10年から15年遅れている、ということだった。今、その差は、広がってこそいないが、縮まってはいない。その差は、ITエンジニアの考え方とか意識に起因していると思う。
日本のITエンジニアは、潜在力はあると思うが、能力の使い方や経験の積み方を間違えているのではないか。ITエンジニアの将来ビジョンが描けない背景には、構造的な問題もあるが、やはり個人や経営者の問題も大きい。
日本のITエンジニアは、比較的真面目で暗い。新しい概念に出くわすと、「どうすればできるんですか?」と短絡的に答えを求めたり、「何を勉強すればいいんですか?」となる。
例えば、アーキテクトは高い抽象化の能力が求められ、頼る参考書はない。感覚を研ぎ澄ますために芸術やスポーツが役に立つこともあるかもしれない。与えられた課題を解くことが求められており、「どうすればできるんですか?」というのとは違う。
人材の育成に取り組もうと考えるITの組織は、必要な人材像を幹部が描いてみることから始めることを提案したい。自社で必要な人材像は、幹部が手を動かして議論し、明確にし、合意しなければならない。必要な人材像が、まちまちな状況では、育成そのものが機能しないからだ。必要な人材像から役割、責任、権限がはっきりとした職務モデルやキャリアパスが定まってくる。
「3K」のレッテルを貼られてしまっている日本のIT業界だが、こういう人が求められているというリファレンスが提示されれば、それを目指す人がまだまだ増えるのではないかと思う。
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