「契約と対価」から導くITエンジニアの将来像:ITエンジニア キャリアモデル策定計画 特別対談(後編)(3/3 ページ)
アイ・ティ・イノベーションの林社長とマイクロソフトの成本部長による特別対談の後編。「ITエンジニアが、その将来像を描くには、期待される人材の明確な定義やモデルが求められる」と林氏は話す。
ITアーキテクトの報酬は?
ITmedia 建築士事務所の報酬は、法律に基づいて算出基準が定められていて、工事費の10%前後と大体決まっています。
成本 IT業界もそれに近づくためには、見積手法が確立されないといけません。見積もれないから人月になってしまっていたわけです。成果物の価値をどう見積もるかが重要になります。
可能性としてあるのは、われわれマイクロソフトが掲げた「ソフトウェアファクトリー」のビジョンの中で、「フィーチャー」(Feature)という、ソフトウェアの特性を表す概念が出てきます。このフィーチャーという単位で、価値がある程度分かるはずです。これを進めていけば、「フィーチャー×品質×納期」といった具合に価値を定量化でき、納得感のある見積もりが可能になります。また、相乗効果によって、働く人の価値が浮き彫りになってきます。
ITmedia これまでにもキャリアモデルを策定する取り組みはあったと思いますが、あまり成果を上げていません。
成本 そんなキレイには行かない、という意見が出てくることは分かっていますし、簡単には行かないことも重々承知しています。
しかし、どうすべきかといえば、やはり、リファレンスを定義して、キャリアパスを示すべきなんです。われわれは、契約と対価、それによる働く人の価値に重きを置いて、道筋をつけていきたいと思いますし、IT業界を前に進めていきたいと考えている人たちと一緒に活動していきたいと思っています。アイ・ティ・イノベーションと一緒に進めているITエンジニアのキャリアモデルを策定するプロジェクトもその一つです。
関連記事
- 日本のITエンジニアよ、もっとリスクを取れ、もっとエンジニアリングしろ
ITエンジニアという職業は、「3K」のレッテルを貼られたままだ。キャリアパスを明確に示し、意識改革を促したいと考えるアイ・ティ・イノベーションの林社長とマイクロソフトの成本部長に話を聞いた。 - 緊急提言 第1回「感性を研ぎ澄まし、トップアーキテクトを目指せ」
オンライン・ムックPlus「応援します! 日本のITエンジニア」では、ITプロフェッショナルと開発者の明日を考える「緊急提言」を業界の識者からいただいた。第1回は、アイ・ティ・イノベーションの林衛社長。 - 「ITアーキテクト」は雲の上の存在?――札幌の地からキャリアを見つめ直す
「このままニートになってしまうのか?」故郷の札幌に戻ったものの、就職口を見つけられずにいた女性と、「ITアーキテクト」育成ミッションに訳も分からず参加した男性が、札幌の地域振興プロジェクトを通じてどのように自身をキャリアアップできたのか? - Imagine Cup 2006 日本代表追っかけルポ:「健康でありたい」――優秀な学生はこの望みをどう実装するか
Imagine Cup 2006の2日目。日本代表チームが参戦しているソフトウェアデザイン、ビジュアルゲーミングの両部門。灼熱のインドの地で世界の強豪を相手に奮闘していた。健康というキーワードが与えられたとき、天才たちはどのような実装を生み出すのだろうか。 - 6人のIT侍、海を渡る
- IT侍、戦場に立つ
- 観客を魅了した日本代表チーム
- イタリア、ワールドカップに続いて世界を制す――見えた勝利の方程式
Imagine Cup 2006のソフトウェアデザイン部門はイタリアが制した。今大会を終えて見えてきたImagine Cupにおける勝利の方程式について考えてみよう。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.