SAP、MySAP ERPの安定化に向けたロードマップを約束(2/2 ページ)
ここ1年間でSAPはさまざまな技術を投入してきた。MySAP ERP 2005へのアップグレード意向は滞っているものの同社は問題視していない。ユーザーはイノベーションにさまざまな可能性を垣間見る。
SAP Discoveryパッケージには、複合型アプリケーションとして実装された8種類のビジネスプロセスシナリオのサンプルが動作するMySAP ERP 2005が含まれる。
複合開発ツールボックスであるNetWeaverの現行版も付属するのだ。このツールボックスには、「SAP Composite Application Framework」「NetWeaver Visual Composer」「Developer Studio」「Enterprise Services Workplace」が含まれる。また、SAPの作成による手順ガイドおよびベストプラクティス集もSAP Discoveryパッケージに入っている。
このバージョンのSAP Discoveryで提供されるシナリオには、購買、出張経費控除、投資承認、新規サプライヤーマスターデータの要求、見積もり承認の要求、製造指図書の再スケジューリング、店舗別販売価格のメンテナンス、戦略的投資買いのシミュレーションなどが含まれる。SAPでは今後1年間で、特定業種向けに追加シナリオを開発する予定だ。
またSAPは、SOAの大きな原動力である複合型アプリケーション開発の管理を容易にするために、複数のツールを単一製品に統合したことも明らかにした。
新しい「NetWeaver Composition Environment」には、サービスを組み立てるためのSAPの「Composite Application Framework」、複合開発プロセスの手順を示してくれる「Web Dynpro」開発環境、そして複合ビューの構築/適合用の「NetWeaver Visual Composure」ツールが含まれる。SAPによると、開発者およびビジネスプロセス担当者がコアアプリケーションスイートに手を付けることなしに、イノベーションを実現できるようにするのが目的だという。
SAPはこの数年間、猛烈なスピードで新技術の開発を進めてきたというのが、多くの人々の一致した見方であり、その巨大なユーザーベースが付いていけないほどだという指摘もある。3万社を超える同社のユーザー企業のうち、MySAP ERP 2005へのアップグレードの意向を表明しているのは約2100社に過ぎない。既に導入済みの企業は107社である。
アガシ氏は、これについては心配しておらず、SAPはあらゆる顧客が同時にアップグレードすることは望んでいないとしている。同社では、毎年約7000社のユーザー企業がMySAP ERP 2005にアップグレードすればよいと考えているという。この計算でいくと、大半のユーザーがアップグレードを完了したころには、同社のERP製品の次のメジャーリリースの時期になっているだろう。
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