一筋縄ではいかない「マルチベンダーシステム管理」――MSのモデリング構想の行方(2/2 ページ)
Microsoftは他の大手ITベンダーと協力してSMLと呼ばれるマルチベンダーシステム管理テクノロジーの策定に取り組むことになった。SMLは同社製品の構成および監視機能の強化を図る上で要となるが、実現への道は平坦ではないだろう。
SMLの可能性は未知数
SMLの仕様策定に参加している他のベンダーは、BEA、BMC、Cisco、Dell、EMC、Hewlett-Packard、IBM、Intel、Sunである。これらのベンダーが各社のプラットフォームおよびシステム管理ツールにSMLを実装することで、アプリケーションでのSMLの使用が促進される可能性がある。これは、SMLの成功を左右する重要なポイントだ。また、複数のベンダーがSMLを採用することで、ユーザーが単一の管理ツールセットを使用して全システムを管理できる可能性も高くなる。
また、管理ソフトウェアベンダーおよびインテグレータも、SMLプロジェクトに参加することでメリットが得られるかもしれない。同プロジェクトでは、Microsoftのシステム管理テクノロジー開発に携わる有識者と直接意見を交わすことができるフォーラムが用意される予定である。SMLの標準化団体への提出はまだ行われていないが、提出先の団体として最も有力なのは、Distributed Management Task Force(DMTF)である。DMTFにはSMLの初期仕様策定に名を連ねている全ベンダーが参加しているほか、DMTFはWS-Managementプロジェクトの推進団体でもある。
DMTFの歴史を振り返ると、理想的なマルチベンダー管理テクノロジーの実現への道は平坦ではないだろう。DMTFではこれまで、システムの監視および構成に使用する標準のインタフェースおよびデータフォーマットを定義するためのWeb-Based Enterprise Management(WBEM)テクノロジーを開発している。WBEMテクノロジーは、Windows(WBEMのWindows実装はWindows Management Instrumentationと呼ばれる)や、Sun Solarisなどの他製品でも広くサポートされているが、プロプライエタリの管理フレームワーク製品やSNMP(Simple Network Management Protocol)のようなより特化されたテクノロジーに代わることができるほど普及してはいない。
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