研究こそが企業の未来の礎――Microsoft Research設立から15年(2/2 ページ)
Microsoftの研究部門上級副社長リック・ラシッド氏は、Microsoft Researchが存在している理由は、同社が15年後も変わらずビジネスを続けていられるようにするためだと語る。
解決されてほしいと思い、また解決された暁には今日のコンピュータ科学に大きな影響を与えると考えられる問題は何かという質問には、生物医学分野における研究はまだ始まったばかりで、コンピューティングを医療ケアにどうやって役立たせるのか、あるいはそのコストをいかに削減できるかといった問題に興味があると、ラシッド氏は答えた。
「生物医学分野には、コンピューティング技術およびその基本理論を生かしていくチャンスが大量に残っている。そうした研究がもたらす影響も非常に大きくなるだろう」(ラシッド氏)
そのほか環境分野でも、将来的にテクノロジーが重要な役目を果たすようになると予想されている。例えば、交通情報を収集して分析し、予測を立てて車両に配信するといったことが可能になるのだという。
ラシッド氏は、こうした取り組みがエネルギー消費の効率化や環境保護につながると述べている。
Microsoft Researchが今後5年間の優先課題としているのは、研究そのものと研究者の質を落とさないようにすることだ。
「研究組織というのは実にもろいもので、十分に注意を払っていないと、簡単に時代から取り残されたり、優秀な人材を失ったりしてしまう。常に前に進み続け、他者からの批判に耳を傾けることが大切だ」(ラシッド氏)
最先端の研究を手がけて、その成果を製品に反映していくことも、研究所が日常的に果たさねばならない使命だ。研究者側は努力の成果を製品で利用できる形に変え、製品開発グループはその使用法や活用法を検討して、技術の受け渡しをスムーズに行う必要があるのだと、ラシッド氏は説明している。
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