コンテンツポータビリティの未来とケータイ業界垂直統合モデルの可能性:ケータイルネサンスは起こるか 第6回(2/2 ページ)
その存在意義に疑問を投げかけられた「Yahoo! コンテンツストア」は、新たな方向性を模索している。果たして、その先に見ているものは――。また、ヤフーやグーグルなどのPCインターネットの巨人と手を組み、泰然自若せんとする3キャリア。果たして「キャリア主導の王国」は安泰か――。
キャリア主導は変わらない!?
総計1億人近くになるケータイユーザーへの課金ビジネスの、大げさにいえば携帯電話番号ポータビリティ(MNP、※1)施行をきっかけに繰り広げられている争奪戦は、どうも宙に浮いた感がある。しかも、さまざまなアンケート調査を見てみると、MNPを機にキャリアを乗り換えるというユーザーはかなり少ない。とすると、課金ビジネスどころか、すべてはキャリア主導のままで進むことになる。定額、家族割引、年間契約、くりこし…顧客離れを防ぐために3キャリアが続々と打ち出した奇策の料金プランが、ユーザーを身動き取れない状況に陥れ、「キャリア主導の王国」を守り抜いているようにも見受けられる。
また、ソフトバンクが既存キャリアになったことも、その傾向に拍車をかけたようだ。
「ソフトバンクがボーダフォンを買ったために、『コンテンツポータビリティ』だけではなく、いろいろな夢物語が崩れたと思う。(ソフトバンクは新規参入するときには)激安ケータイを出すといわれていたが、実際にはいきなり1500万人の顧客と買収のための多額の借金を抱えてキャリアになった。そうしたからには、(激安を実現することは)難しくなった」(ケータイ業界に詳しいライターの石川温氏)
「これまでの圧倒的ナンバーワン=いつまでも圧倒的ナンバーワン」とは限らない――こう言って、キャリアとしてナンバーワンになることを宣言したソフトバンク社長の孫正義氏。ボーダフォン買収以降はボーダフォンの端末を使っていると微笑んだ。
ソフトバンクモバイルでは「Yahoo!! ケータイ」。auでは「Googleモバイル」。そして課金の支払いはすべてキャリアへ――このキャリアによる垂直統合モデルの構図は、しばらく続くことになるのかもしれない。すると、気になるのはNTTドコモだ。ひょっとしてひょっとすると、いずれは「goo」に独占的なポジションを与えることになったりするのだろうか。そう勘繰るのは、不自然なことではないだろう(発売中の「月刊アイティセレクト」10月号第1特集「ケータイビジネスの地殻変動を追う! ケータイルネサンスは起こるか」より)。
※1 現在使用しているキャリアから別のキャリアに契約を変更しても、電話番号が変わらない制度。10月24日から始まる。メールアドレスや料金プランなどは新規契約先のものに準ずることになる。
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