W-ZERO3の仕掛け人が、あの行列の朝を振り返る:夢工房を追う 第2回(3/3 ページ)
今となっては「勝ち組」となったW-ZERO3だが、企画が立ち上がった当初はウィルコム社内においても、その売れ行きを疑問視する声が少なくなかった。「あの盛り上がりは、狙ってできるものではない」と製品担当者が発売時の舞台裏を明かす。
そしてその狙い通り、W-ZERO3が通常の携帯電話とは違う価値が認められ、好調な売れ行きを実現して一つのブランドとなったからこそ、電話に近い見た目のW-ZERO3[es]の発売が実現した。
[es]も発売後、好調な売れ行きを続けている。
今後はキャリアとしての差別化打ち出しも
最初に紹介した通り、W-ZERO3の好調な売れ行きを横目に、「スマートフォン」といわれる機器が各キャリアから投入されている。いわば、W-ZERO3にライバルができたことになる。この事態に対して須永氏は、「これまではほかにないW-ZERO3の特徴をアピールしてきたが、これからはキャリアとしてサービスの違いをアピールする時期に来た」と話す。
「PDAは最初は利用されるものの、ずっと利用する人は少ないといわれています。W-ZERO3が同じ状況にならないよう、『使い続けてもらうための工夫』はいろいろなところで行っています。まず、通話用に使うことができるということが一つ。それに加えて、専用サイトを作ってそこにアクセスしてもらうことで、色々な使い方を提案するなど、いろいろな仕掛けを考えています。こうした仕掛けが、キャリアとしてのサービスの違いを打ち出せるのではないかと考えています」
ウィルコムでは、音声とデータ通信、両方の定額サービスを実施している。この点も、「新たにもう一台と考えるお客様には魅力を感じてもらうポイントとなるのではないか」と須永氏は指摘。今後はこうした点を訴求ポイントとしてさらにアピールしていくことも計画している。
今後のW-ZERO3シリーズの計画について須永氏は、「実際に利用しているお客様から、山のように要望をいただいています。料金体系についても、もしかしたらもっとW-ZERO3に適した体系があるのかもしれないとも考えています」とあらゆる面から、よりよい製品とすることの追求を続けていく姿勢を見せる。
当初はW-ZERO3以外の製品も担当していた須永氏だが、現在はW-ZERO3専任となった。
「今はもう寝ても覚めても、W-ZERO3のことを考えてしまいますね」と苦笑する。しかし、その熱意こそ、新しいW-ZERO3を生み出す原動力となっていきそうだ。
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