ITツールは「まず使ってみる」に限る!:追求! BIソリューション活用術 第2回(2/2 ページ)
すでに導入済みのビジネス・インテリジェンス(BI)の活用がままならないという今、その次を担う考えも出てきている。BI活用は喫緊の課題となっているのかもしれない――。
日本企業が欧米流の経営手法を取り込むようになった中で、BIの役目として今一番注目を浴びているのが、管理会計の分野だ。
管理会計は企業によって手法が異なる。ただ、絶対にやらなければならないことが計画系データとの比較ということは共通している。とりわけ、おカネは最も正確に定量化されるデータであるため、比較しやすい。そのため、予算編成においてBIを有効活用する動きが出始めている。これがCPMという概念が生まれたきっかけだ。
その概念は、BIをDWHとして据え、実績データを完全に一元管理し、それを基にファイナンシャルマネジメントや戦略立案を行い、かつそれを検証できるようにすること。これにより、きちんとした事業計画立案や予算編成ができるようになるというものである。
CPMの考え方は、日本でも聞かれるようになっている。従来のやり方では、事業計画立案や予算編成は形で終わってしまっている。定量化され、BIに蓄えられている実績データを基にして事業計画・予算を立てれば、後で「どうなったか」を検証でき、次の期に反映させることができる。また、戦略などは時間軸を基にしたビジョン提唱となり、定性データとしてしか残っていない。定量化され、BIに落とし込まれることがないのだ。そのため、CPMがにわかに脚光を浴びてきているのである。
「日本企業はその期だけで見てしまい、次の期に反映しないところがある。数値データを基にして、定量化した戦略を立てるという文化・習慣がない」(山本氏)
山本氏によると、基本的にBIというと実績系データ、CPMというと計画系データの整理に使うものになる。つまり、BIがなければCPMは機能しない。そして、この二つが調和すれば、真のIT経営ができるようになるという。
「極端なこといえば、財務会計と人事給与のシステムはないと業務ができないが、BI/CPMのシステムはなくても経営はできる。つまり、必要十分条件のものではない。だが、これから世の中にコミットして成長することを考える会社にとっては、BI/CPMは財務会計や人事給与のシステムよりも必要なものに違いない」(山本氏)
[基幹系―BI―実行系]という企業システムにおいて、BIは実行系を確実に動かし、パフォーマンスを出すための役割を持つ。基幹系が血液、実行系が筋肉だとすれば、BIは神経になるのである(「月刊アイティセレクト」11月号の特別企画「追求! BIソリューション活用術 近道は『まず使ってみる』こと」より)。
関連記事
- 高価ITツールを「持ち腐れ」させないっ!
普及が進まないといわれるビジネス・インテリジェンス(BI)。だが、どうやら「導入」ではなく「活用」の段階に入るのが遅れているというのが本当のところのようだ。BIを活用するにはどうしたらいいのだろうか――。 - 「インテリジェンス」生み出すビジネスマンが主役に
経営層が経営分析に利用してきたBI(ビジネスインテリジェンス)が一般社員層にまで広がってきている。こうした流れは90年代初頭から始まった…… - 現場力を鍛えるBI活用に立ちはだかる壁
BIを現場の実務に直結した形で利用する傾向が強まっているが、その傾向に水をさす、組織的な問題について論じてみたい…… - BIと知らずにBIを利用する環境
BIを組織の中で浸透させていく方策について考えてみたい。ユーザーに対してBI活用を特別な作業と意識させないことが大切のようだ…… - 勝ち組企業になりたければBIを浸透させよ
BIの現場活用を本当に全社的に進めるための方策と、情報活用を人任せにしている会社とそうでない会社に広がる差について考察してみた……
Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.