バルマー氏、「Vistaは新たな技術革新の波を起こす」(2/2 ページ)
バルマー氏はVistaの提供開始会見で、「Vistaには搭載できなかったが、今でも開発を続けているもの」が山のように残っていると答えている。
ビジネス市場の四本柱
Microsoftは、今日のビジネス市場におけるニーズには中心となる4つの柱があると考え、People Ready Businessをその上に成り立たせている。
1つ目の柱は、主に統合コミュニケーションを用いて共同作業を簡略化し、VoIP(Voice over IP:来年から提供が始まる予定)や電子メール、インスタントメッセージング、映像を統合する対象を決める過程を支援することだ。
顧客は、常に最新の情報を取得できるようになることも求めているという。ここでは、人々を結びつけ、情報を簡単に共有させるために、wikiやブログ、RSSを利用したコラボレーションおよびワークフローの確立がきわめて重要になる。モバイルPCを使った、リモートからの作業を可能にすることも大切だ。
2つ目の柱は、情報の把握とビジネス的視野の拡大である。具体的には、適切な情報を見つけたり、ドキュメント、電子メール、人材を検索したりすること、XMLおよびWebサービスを介してシステムを統合すること、情報を可視化して分析すること、ビジネスインテリジェンスやポータル、検索機能を利用してレポートを作成し、決断を下す際の助けとすることなどが含まれる。
30日には、Microsoftのテクニカルプロダクトマネジャーであるダイアン・プレスコット氏が、「Outlook」からデータにアクセスする方法をデモンストレーションした。同氏によれば、ユーザーはOutlookの「Voice Access」機能を用いてダイヤルイン接続し、電子メールやカレンダーを操作できるという。同機能は、外国語が使用されたことも即座に検知する。
Outlookの「Web Access」機能にも変更が加えられ、紛失したり、盗難にあったりしたデバイスの情報を消して、企業データを守れるようになっている。
3つ目の柱は、データ保全および権利管理、ドライブの暗号化およびバックアップ、電子フォームなどを含む、ユーザーコンテンツの保守管理を支援することだ。最後の4つ目の柱は、ITコストを削減し、セキュリティを強化することだという。
「Vistaは、SDL(Security Development Lifecycle)に基づいて開発された初めての製品で、これが同OSの安全性向上に一役買っている。単一のイメージしか持たないことから、導入も簡単になった。ほかにも、セキュリティリスクの軽減、サポートコストの低下、アイデンティティおよびアクセス管理性の強化といった改良が図られている。最近になって、2005年初頭以降に何らかの方法で侵害されたり、改ざんされたりした個人データを含む記録が9,300万件におよんでいる事実を知り、心底驚愕した」(バルマー氏)
バルマー氏は、システムインテグレータから独立系ソフトウェアベンダー、ハードウェアおよびチップ製造企業に至る、全世界50万社ものパートナー企業が、VistaおよびOffice 2007のリリースによってビジネスチャンスの有機的な輪が広がることを、大いに歓迎していると話した。
「われわれは、VistaおよびOffice 2007と、両製品に関係のある30種近くの製品を提供することで、People Ready Businessを行き渡らせようと努めている。今日の状況は、すべてのMicrosoft製品を活用したいと考えている顧客にとって、新たなる時代の幕開けを意味している」(バルマー氏)
バルマー氏は講演後に行われた質疑応答で、このたびのリリース製品に対しては、Microsoftの歴史の中でも最も広範なマーケティングを行う予定であり、コンシューマ版を発表する2007年1月30日から集中的なキャンペーンを開始すると述べた。マーケティング活動に投じる予算の総額は、数億ドルに達する見込み。
Vistaの基本的な技術開発には約2年半かかったが、Microsoftのエンジニアは開発当初、「膨大な関連作業をこなすためにサイクル時間を費やさざるを得なかった。その後も、Windows XP SP2のセキュリティアップデートに時間を取られた」という。
Vistaの次のバージョンにはどういった技術を実装するつもりかと尋ねられたバルマー氏は、「Vistaには搭載できなかったが、今でも開発を続けているもの」が山のように残っていると答え、「マルチコアプロセッサへの移行がもたらすメリットを十分に生かすため、ネットワーキングインフラストラクチャを改良していく必要がある。また、IT管理者がシステムを簡単かつ安価に導入できるよう、多くの工夫を凝らさなければならないと思っている」と続けた。
Microsoftの新製品リリースに合わせて、Dellも11月30日に発表を行っている。これによると、Microsoftのボリュームライセンス契約を有している顧客は、DellにWindows Vistaのイメージを送信し、標準オプションであるイメージングサービスを利用すれば、同社の工場でマシンに同OSをインストールしてもらうことができるという。このサービスは、12月1日から開始される。
またDellは、ユーザーが自ら利用するデスクトップやノートブックを評価および更新し、ネットワーク接続環境内に配置するためのツールもリリースした。そのうちの1つ、「Windows Vista ROI」ツールは、Vistaへの移行を計画したり、予算を配分したりするのに役立つ情報を豊富に提供してくれる。最大3年間にわたり、TCOを追跡調査する機能も備えているという。
このほかDellが発表したツールには、システムのサイズや容量、データセキュリティ、バックアップおよびリカバリ、アーカイビングといった、電子メール環境の各要素を最適化および簡素化するのに用いる「Exchange Advisor Tool」がある。
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