2006年オープンソース・ビジネス・アワード受賞者の共通項はサポートビジネス?
OSCARアライアンスは、「2006年オープンソース・ビジネス・アワード」の受賞者を発表した。受賞したのは、「サイオステクノロジー」「マインド」の2社
NPO法人OSCARアライアンスは12月12日、ビジネスにおけるオープンソース活用の啓蒙・推進に今年最も活躍した企業などを表彰する「2006年オープンソース・ビジネス・アワード」を都内で開催した。
今年で5回目となる同アワードでは、8件の応募の中から、2つの企業が受賞した。受賞したのは、11月にテンアートニから社名を変更したサイオステクノロジーと、マインドの2社。
サイオステクノロジーはオープンソースソフトウェア(OSS)とJavaを核とするビジネスを展開している。同社の受賞理由は、同社が展開する事業の1つであるLinuxディストリビューションの販売・サポート事業が、2006年6月に矢野経済研究所が発表した「Linuxディストリビューションサポートの市場動向に関する調査」において、IBMやNECなど大手ベンダーを抑え、25%というシェアを獲得したことが、オープンソースビジネスでの成功事例として評価された。
受賞のコメントを求められたサイオステクノロジー代表取締役の喜多伸夫氏は、「1位であることを維持するのは、1位になる倍の努力が必要」とピーター・ドラッカーの言葉を引用しつつ、今後もたゆまぬ努力を続け、OSSの発展に貢献したいと話した。受賞後の同氏に、今後の指針を聞いたところ、キーワードとしては「仮想化」「マッシュアップ」を挙げた。特に後者については、企業向けのマッシュアップサービスがまだ存在していないと指摘、そこに向けた製品を投入したいと今後登場するソリューションをにおわせた。
一方、マインドはオープン系を中心とする情報ビジネス開発を手がけるベンダー。1997年にERP事業に参入、2003年には自社開発の国産ERPパッケージ「Mind Solution Series」を発表している。
製品からサービスの転換を志向する同社は2006年8月、Mind Open Source Projectを立ち上げ自社製品のオープンソース化を図っている。9月には人事給与パッケージが 公開されたほか、そのほかのERPパッケージ――財務会計や販売管理、交通費清算など――も順次GPLの下で公開する予定としている。ERPのパッケージベンダーが自社製品のオープンソース化が先進的な取り組みとして評価された。
「今年で設立から20周年を迎え、アワードも受賞でき二重の喜びを感じている。オープンソースの世界はまだまだ分からないことも多いが、OSSの発展に寄与していきたい」(マインド代表取締役の屋代喜一氏)
ここ3回の同アワードを振り返ってみると、応募件数の少なさが目に付く。2004年は9件、2005年は11件、そして今回は8件と、10件前後しか応募がない現状は、Linux/OSSがここまで広がりを見せている中でやや寂しいものがある。また、前年度のように、ユーザー側の受賞がなかったことも残念なところである。来年は、より広範かつ多くの応募から審査が行われることを期待したい。
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