「古くなったらどんどん捨てる」企業のメール管理の実態が明らかに
ガートナージャパンが行ったメッセージングツールの利用調査において、企業の管理ポリシーのないままメールの削除が行われている実態が明らかにされた。
「電子メールは情報共有ツールとして定着したが、うまく管理されていない。メールもビジネス情報として確実に保管する必要がある」。ガートナージャパンのITデマンド・リサーチ担当ディレクターの志賀嘉津士氏は、シマンテックが開催した電子メールの利用状況に関する説明会において、企業が社員のメールボックスを管理できていない状況に警鐘を鳴らした。
ガートナーは、企業内のビジネスワーカー、特にITリテラシーの高い人たち2000名を対象に10〜11月にかけてWebアンケートを実施、独自の調査を行った(有効回答数570)。
電子メールは、この15年間にビジネススタイルを大きく変えるほどのコミュニケーションツールとして定着した。cc送信を多用する傾向に見られるように、メールをインフラとした情報共有やワークフローが生まれ、単なるメッセージ手段ではなく、「ビジネスインフォメーションツール」としての機能を担うまでになっている。
業務上のやり取りの記録となり、また見積書、経費伝票などの重要な文書が添付されるケースが急速に増えてきている半面、志賀氏によると、それらをアーカイブしていないユーザーが半数以上いたという。アーカイブツールを利用しない理由をみると、古いメールは気にせずどんどん削除していくという、企業が管理できない範囲において個人が自分の都合で過去の業務メールを処理している実態が浮き彫りとなった。
さらに企業向けの調査では、何らかのメールのアーカイビングシステムを導入している企業は7%にすぎず、当面導入予定がないところは84%にも上る。こうした状況を踏まえ、志賀氏は「当面電子メールの増加傾向が続くとみているが、長期的には、企業がメールを方針なく利用していくことが管理面の課題となる」と指摘。情報漏えい対策や内部統制強化の下、メールを確実に運用、保存する仕組みが企業に求められるとした。
シマンテックのExchange Server対応アーカイブソフト「Symantec Enterprise Vault」では、期限、容量などを基準にアーカイビングポリシーを設定して、メールの重要度に応じて階層的にストレージへデータを移動、保護する環境を構築する。情報の分類という視点でメールのライフサイクルを管理しようというものだ。「法制のような強制力に依存するのではなく、利用状況に合わせてプロアクティブにメールをアーカイブすることが、企業にとって重要だと考える」(シマンテックの堀江徹プロダクトマーケティングマネジャー)。
関連記事
- 「メールは知的財産」、シマンテックがメッセージ統合管理ソリューション
シマンテックはメールセキュリティ製品「Symantec Mail Security 8300」を発表、アーカイブソフトと連携させ、内外の脅威や法規制に対してメールデータの完全性を保証するメッセージ統合管理ソリューションを展開する。 - 「メールは基幹システム」、デルとシマンテックが共同でExchangeシステムを保護
デルとシマンテックは、堅牢かつセキュアなMicrosoft Exchange環境の構築を支援する「Secure Exchange」を日本国内でも提供する。 - 新生シマンテック初のジョイントソリューションは「電子メールのライフサイクル管理」
- DellとSymantec、メールセキュリティ対策で提携
- メール/ファイルシステムのアーカイブで内部統制支援、デルとEMC
- 企業を悩ませるIMのセキュリティ対策に乗り出すSymantec
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.