米Sun Microsystemsは、Java言語の進化に向けて、ありとあらゆる機能を提供するよう開発者に促している。
「Sun Java Complier」(Javacとも呼ばれる)を担当する技術主任、ペーター・フォン・デル・アーエ氏は、「SunはJava技術をオープンソース化する計画を発表したが、当社ではこの標準言語の神聖さを維持しつつも、開発者がJavaに新機能を実験的に追加できるようにするつもりだ」と語る。
アーエ氏は、「KSL」(Kitchen Sink Language)と呼ばれるSunのインキュベータープロジェクトを立ち上げた(訳注:「Kitchen Sink」には「何でもかんでも」という意味がある)。Javaの創始者であるSunのフェロー、ジェームズ・ゴスリング氏は1月8日付のブログ投稿の中で、「このプロジェクトでは、開発者がどんなばかげた言語機能でもJavaに組み込んで試すことができる。Javacは既にオープンソース化されているため、これは簡単なことだ」と述べている。KSLプロジェクトの詳細はこちら(関連リンク)。
アーエ氏はJavacの技術主任という立場から、「Javaの改良に向けてたくさんの提案を受けているが、われわれのチームはその多くを却下しなければならない。これらの提案を試すにはどうすればよいのだろうか。ゴスリング氏のソリューションは『Kitchen Sink Language』というもので、これは言語の改良に向けて、ばかげた(およびそれほどばかげていない)アイデアを試すためのフォーラムである」と語る。
「しかしJavacの根幹は安定したものにしておきたいと考えており、われわれは主として『承認された』機能を実装することにフォーカスする。その一方で、新しい言語機能の感じをつかむためには、実験をして『楽しむ』必要がある。たいていの人は、抽象的な仕様書や提案書を読むよりも、自分のコードの中で実際に使用することで新しい言語機能の提案を評価したいと思うようだ」とアーエ氏は話す。
アーエ氏によると、Javaプログラミング言語はJava Community Process(JCP)によって仕様が定められる。「これは良いことだ。コミュニティー全体の意見を聞くことができるからだ。そうとはいえ、Javaに追加する機能を選択するにあたっては保守的であるべきだ。そうではないと、Javaが収拾のつかない言語になる恐れがある」と同氏。
これは「Evolving the Java Language」(Java言語の発展に向けて)と題されたプレゼンテーションの前提である、とアーエ氏は語る。このプレゼンテーションを作成したのは、ジラッド・ブレーチャ氏(Sunのコンピューティングテクノロジスト)、グレアム・ハミルトン氏(Sunの元副社長でフェロー)およびマーク・ラインホールド氏(Java Standard Editionのチーフエンジニア)である。
アーエ氏によると、マルヌ・ラ・ヴァレ大学のレミ・フォラックス助教授が冬休み中に言語改良のための2つの提案を実行したのがきっかけで、KSLプロジェクトを立ち上げようという気になったという。「同助教授の取り組みを受けて、テッド・ニューワード氏(Neward & Associatesの創業者)が、将来的な実験的機能を整理するために何かすべきだと提案した。それでわたしは、ジェームズのアイデアを実行するのによい機会だと思ったのだ」(アーエ氏)
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