ハイアベイラビリティにまつわる誤解(1/3 ページ)
ハイアベイラビリティについて言われていることは、その多くが根拠のない話や誤解である。よくある4つの誤解を解いていこう。
ハイアベイラビリティ(高可用性)について言われていることは、その多くが根拠のない話や誤解である。そのほとんどが、以下の4つのパターンに分類できる。
- 高コスト
- 複雑
- 効果測定が困難
- テストが困難
このような間違った印象がはびこっている理由として、ハードウェアベンダーが自社の利益ばかりを追求している点がある。多くのIT管理者はこのような誤解を招くメッセージによって、クラスタリングはミッションクリティカルなアプリケーションにだけ適用するものだと信じてしまった。実際には、ビジネス上重要なアプリケーションにおいても、十分に手の届くコストで手に入る強力なハイアベイラビリティソリューションも存在するのだ。このようなソリューションを採用すれば、人為的なミスやアプリケーションの障害、コンピュータの障害、日常的なメンテナンスや定期メンテナンス、サイト全体の停止など、事業継続性に対する主な脅威を緩和することができる。
4つの誤解を解消する前に、まずハイアベイラビリティについて概観しておこう。
アベイラビリティに対するどのような脅威があるか
ハイアベイラビリティを目標とするとき、どのような脅威に対して防御をしなければならないのだろうか。数え切れないほど存在するが、以下の6種類に分類することが可能だ。
- データの破損:サービスやデータのアベイラビリティに対して非常に広範囲に見られる脅威。ファイルの消失や破損が発生したり、問題解決のためにサービスをネットワークから切り離す必要が生じたりすることである。この問題に対する一般的な対策は、バックアップや頻繁なスナップショットである。
- コンポーネントの障害:ネットワークカードやアレイ、ディスクドライブといったハードウェアの故障もよくある。ベンダーがハードウェアの回復力を強化しているため、このような故障の発生頻度は下がっているが、ハードウェア障害が今もアベイラビリティに対する大きな脅威であることは事実である。
- アプリケーションの障害:アプリケーションが利用できなかったためにダウンタイムが発生することも多い。この問題は、生産性や収益の低下に直結する。
- 人的ミス:人の介入が必要なプロセスでは、何らかのインタラクションが原因で、アベイラビリティの喪失に直結するさまざまなエラーが発生する。
ここまでの4種類の脅威はいずれも計画されるようなものではなく、受動的にしかIT部門は対応できない。アベイラビリティに対する5番目の脅威は、計画されたダウンタイムであるという点で、必要悪ということもできる。
- メンテナンス:これは、どのような環境においても、ダウンタイムの要因として間違いなく最大のものである。著名な調査会社によると、ダウンタイムの80%がサーバのアップグレードやアプリケーションのアップグレード、OSアップグレード、そのほかのサイトメンテナンスといった計画されたものだという。
ここまでの5種類の脅威に対して優れた防御が講じてある場合でも、考慮しなければならない6番目の脅威が存在する。
- サイトの停止:ハイアベイラビリティソリューションには、火災や洪水など、災害発生によりサイト全体が失われた場合の対策も含める必要がある。
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