必見!あなたの会社でIMはこう使え:ビジネス向けのメッセンジャー Biz IM市場の幕開け(第4回)(3/3 ページ)
企業向けインスタントメッセンジャー(Biz IM)のメリットは、社内のコミュニケーションを円滑にし、社員の生産性を高めることにある。すでにBiz IMを本格運用する企業の業容は実に多彩だ。
業界ならでは特殊なケースとは?
最後に、少し特殊なケースを紹介したい。
- ディーラー同士のコミュニケーション
数百人が在籍する某投資信託会社は、2年ほど前にBiz IMを導入した。その頃には、個々の社員が抱えるメールの量が膨大になり、処理能力が限界に近づいていたことが導入の要因と思われる。これまでに紹介した他社のような利用方法に加え、同社はファンドマネージャーとトレーダーの間の連絡でも利用している。
時には1分、1秒で状況が一変してしまう金融業界ではあるが、これまで連絡ツールには基本的に電話が利用されることが多かった。現在は、Biz IMのリアルタイムなメッセージング機能をフルに活用し、情報交換や意思決定が行われているという。
- 全社レベルのテレワーク導入に
前回も少し触れたテレワークで利用されているケースも紹介したい。現在、導入が進んでいるのは各種リースやレジャー事業を展開する某企業で、従業員数は1万人規模を誇る。IT系以外の同規模の企業で、テレワークを実施しているまだ珍しいケースだ。同社ではテレワークのトライアルを終えて、2006年末から実用レベルへ移行させている段階にある。全社員を対象としたテレワークの導入であり、今後の浸透が期待されている。
同社ではトライアルでIMを利用した結果、チャットや在席確認のツールを使うことで、連絡や確認、返信を待つといった「ムダな時間を削減し、時間を有効に利用できるようになった」という声が社員からのアンケートで寄せられた。会社で仕事をしている人がテレワークをする社員に連絡をする時に、「相手のプライベートな空間に立ち入るようで躊躇してしまう」という理由からだという。
その点、IMの在席確認ツールを利用すると、相手の場所や距離を感じさせないので、コミュニケーションが取り易いようだ。同じ場所にいなくても情報を共有し、個々のスキルや知識を生かして企業の生産性を高めていく理想的な活用方法だ。
このようにBiz IMを活用している業種、利用部門は実にさまざまだが、そこにはメールでもない、電話でもない、「IM」というツールが必要とされていたという現実がある。すでにIMが誕生してから10年となる今、企業内でIMが着実に浸透しつつある。
渡邉君人
IMを中心としたアプリケーションソフトウェア開発を行うQriptの代表取締役CEO、大阪大学大学院工学研究科博士課程に在籍中。中学時代からコンピュータと向き合うプログラマー、現在は社長業に注力。2000年の設立以来、コンシューマーからエンタープライズ向けまでの幅広いIM製品の開発と販売を行っている。
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