システム開発を失敗させない“現実的な処方せん”とは?:失敗プロジェクトが常態化する開発現場(前編)(2/2 ページ)
昨今、大規模なシステム開発の現場において“失敗プロジェクト”が常態化していると聞く。“失敗プロジェクト”とは、目的そのものに到達できなかった、または、予算・期限を超過して終了したプロジェクトのことであるが、一体なぜ常態化するほど多くのプロジェクトが失敗してしまうのだろうか。
一方でベンダーへの過剰な期待や作業依頼は、発注側として慎まなければならない。「うちにはできないから金払って頼んでいるんだ」という正論の一方で、本来の自分の仕事まで頼んでしまう甘えは排除しなくてはならない。できることは自分でする。その当たり前の原則が守られなくなったとき、パートナーとしての緊張感は崩壊し、双方のモラル低下を招く。
プロジェクトとは個別の問題解決の集積である。プロジェクトの成功に向けては、一つひとつの問題解決を許される期限内に終えていかなければならない。個々の問題解決の遅れ・間違いが、結果としてプロジェクト全体の失敗につながる。
解決不要な問題に取り組むべきではないし、解決すべき問題に対してもできるだけ少ないコストで済ませたい。そのためには、問題解決スキルの向上が必要だ。
では、プロジェクト現場において、短期間で問題解決のスキルを向上させるには何をすべきかを次回分析していく。
(「月刊アイティセレクト」2007年3月号のトレンドフォーカス「失敗プロジェクトが常態化する開発現場 現実的な処方箋はどこに?」より)
瀬良 征志
ブーズ・アレン・ハミルトン シニアアソシエイト。ITプラクティスコアメンバー。情報通信、SI、建設、教育、人材サービス、警備サービス、音楽ビジネス、自動車、エネルギー、金融、広告等多様な業界におけるプロジェクト経験を持つ。企業変革実現に向けてのプロジェクト推進活動に軸足を置いた活動をしている。東京大学経済学部卒。
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