“今のところ”Vistaのセキュリティに満足――Microsoftのファティ氏(2/2 ページ)
「おそらく今から5年もすれば、MicrosoftのユーザーはOSのセキュリティのことなど全然気にする必要がなくなるだろう」とファティ氏。同氏はRSA Conference 2007の講演で、Vistaへのセキュリティ機能の搭載をめぐる懸念を払拭しようと熱心に弁明した。
Microsoftのセキュリティを疑問視する人もおり、VistaのBitLockerの暗号化鍵が既に解読されたという噂が広がっている。一方、ニュースメディアも、同OSのUAC(ユーザーアカウントコントロール)機能が頻繁に表示するポップアップが煩わしいと批判する記事をしきりに書いている。しかしファティ氏によると、こういった批判は、今後の開発の取り組みの刺激になるものであり、フラストレーションの原因にはならないとしている。
「記事の見出しは記者の視点を反映したものだが、エンドユーザーにとってのセキュリティが大幅に改善されたという本質的なメッセージは伝わっていると思う。今日の強力なセキュリティでは、UACのポップアップの頻度など、ユーザーにはある程度の負担が伴うが、われわれはパートナーと協力してアプリケーションセキュリティの連携を改善し、システムが頻繁にユーザーに承認を求めなくても済むようにするつもりだ」とファティ氏は話す。
こういった問題の検討や、次世代のWindows製品(リリース時期は未定)のセキュリティ基盤の計画などがファティ氏の日常業務の中心となったことで、同氏は真の情熱をもって仕事に専念できることを喜んでいる。同氏が本当にやりたいのはソフトウェアを開発することであり、Microsoftのパートナーと論争したり、自分の仕事をけなそうとしているように思えるメディアからの質問攻めに対応したりすることではないのだ。
「わたし本来の仕事に戻ることができた。その仕事とは、さまざまな問題に対処したり、セキュリティ問題だけにフォーカスするのではなく、ソフトウェアをデザインすることだ。今後6カ月は、Windowsの次期バージョンの計画策定とVistaで対処できなかった問題の修正に専念するつもりだ」(ファティ氏)
「おそらく今から5年もすれば、MicrosoftのユーザーはOSのセキュリティのことなど全然気にする必要がなくなるだろう」とファティ氏は、ちゃめっ気のあるほほえみを浮かべながら語る。同氏が本気で言っているのではないのは明らかだ。同氏は先に、Microsoft製品のセキュリティを改善するための新たな方法を考案することが、今後もずっと自身の仕事の一部であることを認めているからだ。しかし(製品が登場する前から起きていた)Vistaのリリースをめぐる議論の波に対処するときにファティ氏が感じた苛立ちが、同氏の心地よい感情を奪ってしまったことは想像に難くない。
現在および将来の自身の仕事でセキュリティの比重が下がると話すときのファティ氏の目の輝きは、MicrosoftがVistaで達成したことについて同氏が抱いている気持ちを表していた。口にはしなかったものの、同氏が何を言おうとしていたのか明らかだった――「満足している」ということだ。
少なくとも次の見出しがメディアをにぎわすまでは……。
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