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社内システム総責任者A部長のツルの一声女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)

全社に影響のある大規模システムの運用チームというのは、サーバの再起動1つとっても事前に関係部署の担当者やマネジャーの承認が必要だ。そんな厳格な管理体制が敷かれている職場でも、急を要する重大事態発生時には、ルールを無視した超法規的な措置が取られることもある。

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「超法規的措置」

 A部長が去ってから、運用マネジャーに了解を取り、リモートで不具合が起きているサーバの再起動を行った。作業申請書の提出もなく、総責任者がマネジャーを介さずに現場担当者に直接指示を出す、何もかもが異例づくめの緊急事態だった。

 A部長のわたしへの指示は、長い年月をかけ企業間で作り上げたルールを完全に無視するものだった。しかし、その運用ルールの確立に誰よりも尽力してきたのが、ほかならぬA部長だという事実を後に知った。その当時、ウイルスによるネットワーク障害の頻発で、情報システム部トップには各方面から相当なプレッシャーがあったのだと言う。

 一向に減らないウイルス被害に業を煮やしたA部長は、運用チームの上層部に事の重大さを認識させるため、自分が築き上げた運用ルールを破るという前代未聞の「超法規的措置」を取ったのだった。その甲斐あって、この時を境に、緊急時の連絡系統や非常時の対応が根本的に見直されることとなった。

 あれから数年経つが、そんな歴史的とも言える緊迫の場面で、当事者として味わった極限の緊張感は今も鮮明によみがえる。A部長に「君」と呼びかけられたときの、あの冷たい声の感触とともに。

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