XMLの温故知新、ただし故は2006年:1分ショートレビュー
壁に塗ったペンキがなじんでいくのと同じように、XMLは次第にインフラストラクチャーの中にとけ込んでいる。2006年には勝負を一変させるような製品や標準は出現しなかったが、だからといって2007年もそうであるとは誰にも言えない。
ここで紹介する記事は、developerWorksの「2006年のXML」です。
2006年という年を象徴するXML関連のニュースを1つ挙げよと問われたら、あなたなら何を選ぶだろうか?
2月にMicrosoftがWindows Internet Explorer 7の公式βをリリースしたことをきっかけにブラウザ戦争が再燃したことだろうか? あるいはオフィススィート製品における10年ぶりの本物の争いか? はたまたAtomやXForms、XQueryがゆっくりと、しかし確実に歩を進めたことで、一年の終わりにはいずれも顕著な成長を遂げたことだろうか?
もしかすると、そもそもこうしたXML関連のニュースに目が向いてなかったとあなたは答えるかもしれない。しかしそれを責めることはできない。確かにほとんどの開発者にとって、XMLは単なる補助的なツールで、作業の中心ではないし、XMLに関連したカンファレンスも次々に廃止されている現状を見ると、人々の興味はXMLから離れてしまったのかと思わざるを得ない。
しかし、実際には、上述したような出来事のほかにも、2006年のXMLかいわいではさまざまなことが起こっている。そしてその中には、次のブレイクスルーとなるようなものも含まれているのが現実だ。
本記事では、2006年にXMLの世界で起こった注目の出来事を月ごとに振り返ることで、今後何が起こりうるかを予測する手助けをしてくれる。ちなみに著者は、2006年の年間優秀製品として「TagSoup」に1票を投じている。巷にある粗末で厄介、そして粗野で簡潔とは程遠いHTMLは嘲笑的にタグスープ(Tag Soup)と呼ばれているが、それがそのままソフトウェア名となったこのオープンソースのパーサは、タグスープなHTMLでも整ったXHTMLに変換してくれる。これを推すということはつまり、Webにはまだ、整形式XMLどころかHTMLとしても有効でない見苦しいタグだらけのHTMLが溢れていて、そのほとんどは今すぐXHTMLやXMLに変換される見込みがないことを示していたりするのだが。なお、TagSoupについては「ヒント:ひどいHTMLをTagSoupで修正する」が詳しい。
ともあれ、総括すれば、2006年はXMLにとって生産的な年だったと言えるかもしれない。しかし、わたしたちが本当に知りたいのは2006年に何があったか、ではなく、2007年に何がくるかということではないだろうか。
この問いに対し、著者は、2007年にブレイクするかどうかは定かではないが、ブレイクに向けてひっそりと力を蓄えているAPP(Atom Publishing Protocol)に注目していると明かす。APPについて今から知識を蓄えておきたければ「Atom出版プロトコルを使ってWebリソースを作成し、編集する」が詳しい。
その一方で、Webサービスに対する倦怠感が業界全体に広がっていくことを半ば断言している。OASISと一部のW3CがWebサービスの仕様を量産し続けていることに開発者はうんざりしており、SOAPソリューションとRESTソリューションが用意されているなら高い確率で後者を支持する傾向にあるというのだ。APPへの関心も、HTTPを操作する単純なRESTによるネットワークシステムへの興味の高まりから生じた兆候の1つと言える。
最も効果的な技術というものは、草の根から成長してくるものが多い。草の根の開発者は自分たちがもっとも使いやすいものを使うからだ。2007年はこれまでゆっくりと草の根で成長してきたXMLがいよいよ大きく動くのかもしれない。
ここで紹介した記事は、developerWorksの「2006年のXML」です。
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