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第2回 Zend Frameworkの各コンポーネントを一気に制する「Zend Framework」で加速するPHP開発(2/3 ページ)

前回は、Zend Frameworkの概要とその導入方法について説明しました。今回は、各コンポーネントの使用方法について紹介していきます。

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Action Controller:各コントローラーにActionメソッドを定義する

 Action Controllerは、Zend_Controller_Actionクラスを継承したクラスである必要があります。また、Action Controller内には、「Action名称+"Action"」という名前でメソッドを定義しなければいけません。Indexアクションの場合は、IndexActionメソッドとなります。これらはRouterにかかわらず同一です。Action Controllerの簡単なサンプルコードをリスト3に示しましょう。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

リスト3 Action Controllerの簡単なサンプルコード

Viewクラス:ブラウザ画面に表示される際のレイアウトやロジックを定義する

 Zend Frameworkには、「Zend_View」というHTMLレンダリング用のコンポーネントが備わっています。ビューに関しては、Smartyなど既存のテンプレートエンジンも使用可能です。どこまでZend_Viewの機能に頼るかは、次のような選択肢の中から選ぶことができます。

  1. Zend_Viewが読み込むビュースクリプト内でテンプレートエンジンを使用する
  2. Zend_View_Abstractを継承したクラスにテンプレートエンジンを内包する
  3. Zend_Viewを使用せずにテンプレートエンジンを使用する
  4. Zend_Viewのみを使用する
  5. Zend_Viewを使用しない

 マニュアルには1の方法が例示されていますが、Viewコンポーネントの中で、さらにHTMLとプレゼンテーションロジックを分離するため、必要以上にコードが冗長になってしまう恐れがあります。1ページ単位の情報量が多く、規模も大きいWebサイトを作成する場合には適切ですが、そうでない場合は避けた方が良いでしょう。特に1のような書き方にこだわりがなく、コード量も少なくて済む場合には4を、すでに慣れ親しんだテンプレートエンジンがある場合は3を選べば良いでしょう。

 なお、「RSSやJSONのデータを発信するサーバの役目を担うAction」といったように、結果がHTMLとならない場合には5を選択するのが妥当です。2の方法を取れば使いやすいViewコンポーネントを独自に開発することも可能ですが、互いの依存性が高まってしまいます。

 Zend_Viewは、大まかにコントローラースクリプトとビュースクリプトに分かれます。ここでのコントローラースクリプトは、「Actionメソッド内などコントローラー処理の最後でビュースクリプトを読み込むために定義する記述」を指します。ビュースクリプトは、それを受けて引き渡される変数とともにレンダリングされます。HTMLの記述は通常、ビュースクリプトに記述されます。

コントローラースクリプト

 コントローラースクリプトでは、必要に応じて次の処理を記述します。

  • Zend_Viewクラスのインスタンス生成

$view = new Zend_View();


  • ビュースクリプトへ引き渡す変数のアサイン

 「$view->a = $a」のように、直接代入する方法もありますが、「$view->assin($array)」のように配列をまとめて代入することも可能です。オブジェクトの場合は配列にキャストして渡します。

$view->a = $a;

$view->assin($array);


  • ビュースクリプトのパスを追加

 デフォルトでは、ビュースクリプトを読み込むコントローラークラスの存在するディレクトリが検索されます。保管ディレクトリをべつべつに分けている場合は、次のようにビュースクリプトが保管されているディレクトリを指定する必要があります。

$view->setScriptPath('/path/to/app/views');


  • 独自ヘルパーパスの設定

 Zend_Viewでは、よく使用するHTML要素をレンダリングする関数として、ヘルパーが用意されています。HTMLフォーム要素のヘルパークラスがZend_Viewに付属しており、デフォルトで使用可能になっています。

 ここでは独自にヘルパークラスを作成した場合に、そのヘルパークラスが保管されるディレクトリへのパスを設定することで、同様にヘルパーとして使用することを可能にします(特に使用しない場合は設定する必要はありません)。

$view->setHelperPath('/path/to/more/helpers');


  • エスケープの設定

 ビュースクリプト内で使用できるescapeの関数を指定します。ビュースクリプト内で「echo $this->escape($this->variable);」のように記述しておけば、エスケープに使用される関数を一括して切り替えられるなど、管理が容易になります。デフォルトではhtmlspecialcharsが設定されており、「<」や「>」などHTMLにおいて特殊な意味を持つ文字はエスケープされます。

$view->setEscape('htmlentities');


  • ビュースクリプトのレンダリング

 上記で指定したパス上のビュースクリプトファイルを指定して、レンダリングを行います。

echo $view->render(...);


ビュースクリプト

 Zend/Viewディレクトリ以下にはFilterディレクトリが存在し、ヘルパーと同様にZend_Viewのインスタンスに対してフィルタを登録可能です。Filterディレクトリには付属するクラスが存在しないので、使用する場合はすべてカスタマイズ作成する必要があります。ビュースクリプトにおいて使用した場合には、指定した文字列に対してディレクトリに保管されているフィルタクラスのfilter()メソッドの処理がすべて適用されます。

 ビュースクリプトでは、HTMLを交えたPHPコードと同じように、コントローラースクリプトで引き渡された変数と設定されたヘルパー、エスケープなどの処理を交えて、最終的にレンダリングされるHTMLレイアウトを構成します。引き渡された変数やassign関数で設定された配列は「$this->books」のようにアクセスします(リスト4)

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

リスト4 変数や配列にアクセスするコードの例

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