コラム
業績低迷でも書類作成には燃える組織――根の深い慣習を打破せよ:企業にはびこる間違いだらけのIT経営:第25回(2/2 ページ)
組織の中にある慣習はなかなか改まらない。とくに悪習ほど根強く残り続ける傾向がある。会議資料作りはおろそかにはできないが、大勢の担当者がその仕事で燃え尽きてしまっていたとしたら、即刻、改善に向けて動き出さなくてはならない。
慣習を打ち砕くには
では、どうしたらよいのか。膨大な書類が作られる原因から考えて、何よりもトップに考えを改めてもらわないと事は始まらない。
原因が上層部であれ、現場であれ、トップが意思表示することがまず必要になる。長年の慣習を打ち砕く第一歩はそれしかない。
ある大企業の3代目社長は、報告書類は1ぺージをよしとし、それを超えると叱ったことで知られた。しかし、トップにそれを簡単に求めることができるならこれほど悩まない。
トップが動かない時は、会議や会議資料の取りまとめ部署に働きかけ、書類削減の号令をかけてもらう。こうした努力が長年続く組織内担当者の慣習を打破することにつながる。
しかし、これも簡単なことではない。慣習で凝り固まっている担当者の頭を切り変えるには意外と大きなエネルギーを要する。どのようにして「鈴を付けるか」が、問題なのである。
そして次の段階として、当然ITの力を借りなければならない。これらについて、次回具体的に検討する。
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