エンタープライズサーチが必須となる理由【後編】:よく効くエンタープライズサーチの処方箋(2/2 ページ)
各ベンダーの動きが活発化した2006年は、「エンタープライズサーチ元年」とされる。仕事や経営の原点に立ち返ると、なぜ有効なツールとなり得るのかが理解できるだろう。
ウチダスペクトラムが2006年4月に販売開始した「SMART/InSight 2.0」は、エンタープライズサーチを核とした「次世代情報系サービス・プラットフォーム」という位置付けの製品だ。ノルウェーのファストサーチ&トランスファーが開発した検索エンジン「FAST Data Search」(関連記事)を採用し、最新情報の更新を自動的に通知するアラート機能などオフィスユーザーの情報検索に必須の機能を搭載した従来の「SMART/InSight 1.1」を大幅に機能強化。ユーザーが知恵を結集して情報検索の精度を高めていく「集合知」をテーマにした機能を追加したのがポイントだ。
このほか、アクセラテクノロジの「Accela BizSearch」やジャストシステムの「ConceptBase」なども、エンタープライズサーチ市場で注目される製品となりそうだ。
「エンタープライズ2.0」の核心になる
前記事でも紹介したが、エンタープライズサーチには漠然と何か知りたいことがあってデータを探すという使い方だけでなく、明確に欲しいデータがあってその在りかを探す(または存在しないことを確認する)という用途が想定されるため、ベンダー各社もインターネット用の検索エンジンとは異なる工夫を凝らしている。
その工夫とは、例えば検索キーワードのリコメンド機能、ユーザーの所属や役職、過去の検索履歴などを評価して検索結果の表示や絞り込みを行えるパーソナライズ機能、デスクトップサーチと連動して個人のPCの内部も検索対象にできる機能などで、各社製品の差別化ポイントにもなっている。
2006年来、市場が本格的に動き出したエンタープライズサーチだが、グーグル エンタープライズセールスマネージャの大須賀利一氏によると、「なぜエンタープライズサーチが必要なのかということを顧客が理解し始めたところで、まずは特定の部門で試行のための導入が始まった段階。2007年度には全社的な本格導入に踏み切る企業が相次いで出てくる」といった状況のようだ。
またこうした状況に対して、日本オラクル システム製品統括本部営業推進部 担当シニアマネジャーの三原茂氏は次のように訴える。
「今エンタープライズサーチをセールスする上で最も難点になっているのは、顧客のマインド。“あればベター”だとは理解されているが、“なくてはならない”ものだという認識には至っていない。エンタープライズサーチは企業にとって、業務の効率化を図り生産性を飛躍的に向上させる“なくてはならない”もの。まさしくイノベーションを起こす格好のツール。ぜひともまず経営者の方々に使っていただいて、その効果のほどを実感してほしい」
今回のレポートで強く感じたことは、エンタープライズサーチは企業にとって、単なる検索ツールにとどまらないことだ。仕事の原点、経営の原点に立ち返れば、それはおのずと見えてくるのではないだろうか。エンタープライズサーチは企業内のすべてのシステムを連携し、それらに蓄積されているナレッジを活性化させるものだ。そのポテンシャルは計り知れないものがある。Web 2.0になぞらえた「エンタープライズ2.0」の核心とも言えそうだ。
本記事は、『月刊アイティセレクト』2007年3月号「エンタープライズサーチの最新動向」を再構成したものです。
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