Red Hat、リアルタイム技術で新たな展開(2/2 ページ)
Red Hat Enterprise Linux 5が14日にリリースされたが、同社は新たなるモデルの発表を行った。“リアルタイムLinux”そして、次期Enterprise Linux 6についてだ。
ノースカロライナ州ローリーに本社を置くRed Hatのスティーブンス氏は、どんな技術が「RHEL 6」のベースになるのかとのeWEEKの質問に対し、「当社では、RHEL 5に含まれていないスケーラブルなメッセージキューイング技術の開発に携わるチームを強化した。また、Apache傘下の開発者コミュニティーのQpid、ならびに仕様策定ワーキンググループのAMQPを立ち上げている」と答えた。
「われわれは次の四半期に、サブスクリプション方式を通じてメッセージキューイング技術を一部の顧客に提供するつもりだ。手始めとして、この技術を金融市場データの管理などで利用する金融サービス企業に提供する」とスティーブンス氏は話す。
「しかしこの技術を広範に提供するようになった段階では、フレームワーク上にポリシーベースの管理機能を組み込む予定だ。つまり、重要な市場データの管理だけにとどまらず、イベント指向の俊敏なデータセンターをスケーラブルに構築し、過去のレガシーシステム管理/監視製品から移行するというニーズにも対応するということだ」と同氏は説明する。
このためRed Hatでは「このメッセージングモデルを次世代のデータセンター管理用の技術として検討する方針であり、これは次のリリースで大きなテーマになるだろう」と同氏は話す。
仮想化技術の開発も続けられており、その第1フェーズの成果はRHEL 5に盛り込まれている。また、ポリシーベースの管理の実現や、データセンターおよびグリッドの自動化を目指す取り組みも続けられる。
さらにRed Hatでは、高可用性技術を仮想化技術に統合することにより、Oracle RAC(Real Application Clusters)のような技術が不要になるようにしたいと考えている。スティーブンス氏によると、RACは「途方もなく高価」でありながら、その価値は限られているという。
「RHEL 5とXenを統合し、オンラインマイグレーション機能と任意のデータベースタイプに対応した高可用性技術を組み込み、さらにマルチコアと組み合わせた高可用性のフレームワークを考えた場合、そのスケーラビリティはとてつもないものであり、もはや水平的な拡張の理由がなくなる。当社では、これらすべての技術の開発に取り組むつもりだ」とスティーブンス氏は話す。
さらにRed Hatは、データベースコンテナの概念を拡張し、従来は高価なRAC環境でPostGRES、Sybase、Ingresなどの製品を使用しなければ利用できなかったような機能をすべて実現するデータベースコンテナを、RHEL 5をベースとして開発する予定だという。
また、Oracle LinuxでRed Hatに対抗しているライバルのOracleは、仮想化によってデータベースコンテナの構築が可能になったことで自社のRACビジネスが脅威にさらされていることを認識しながらも、仮想化技術を採用しない理由について、スティーブンス氏は自身の見解を述べている。
「仮想化はOracleのビジネスを損なう技術であり、彼らはそれを知っていた。そして今、それが現実になったのだ。現在、どんなデータベースでも仮想マシン上で運用し、十分に管理できる。自動と手動のどちらでもリソース割り当てることができ、メモリおよびCPUを即時に追加したり取り外したりすることが可能だ」と同氏は語る。
「われわれが目指しているのは、これらのサービスを必要とするすべてのアプリケーション用の共通のインフラストラクチャ、共通のプラットフォームだ。そして今、われわれはついに、高可用性およびこれらすべての機能をOracle RAC環境だけでなく、あらゆるデータベースに提供できるようになった。つまりわれわれは、このデータベースコンテナという概念によって、各種のデータベースが同じ土俵で競争できるようにしたのだ」(同氏)
スティーブンス氏によると、これは1CPUに付き50%の割増価格となるRACが、もはや不要になったことを意味するという。
「マルチコア技術の発達のおかげで、RACの拡張性は不要になったし、これまでも十分に活用されていなかった。それに今では、RACの高可用性も優れた技術ではなくなった。というのもITプロフェッショナルは、アプリケーションごとの高可用性戦略に投資したいと思わなくなったからだ。今後の展開が楽しみだ」(同氏)
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