需要急増で課題が噴出するデータセンター【後編】(2/2 ページ)
データセンターにはさまざまなリスクから情報システムを守り、サービスを継続させるためのトータルなファシリティマネジメントが求められている。活況を呈する現在のデータセンターが抱える課題とは何か?
まだまだ進化するデータセンター
こうした中で、コンピュータベンダー各社は消費電力を抑えたサーバの開発をはじめ、ファシリティマネジメントにも踏み込んだソリューションを打ち出してきている。
日本ヒューレット・パッカードが2月に提供開始した「HPスマート・クーリング・ソリューション」は、データセンターの電力や空調コストを削減し、安定運用を支援するサービスだ。現地調査やシミュレーション分析に基づいて、サーバラックや空調設備の適切な配置方法や冷却効率の改善方法などのアドバイスを行う。
また、米サン・マイクロシステムズのスコット・マクニーリ会長は昨年12月に来日した際に行った講演で、同社が考える未来のデータセンター・プロジェクト「ブラックボックス」の内容を披露した。
それによるとブラックボックスは、現在よりも一段と低消費電力を実現したプロセッサを大量に搭載したサーバを、20平方フィートのコンテナに収容した移動型のデータセンターで、大容量のペタバイト級のディスクストレージとテープストレージを備え、1万ユーザーが同時に利用できる。必要な時、必要な場所でデータセンターを設置できるほか、開設コストを従来の5分の1に削減できるという。マクニーリ会長いわく「コンテナ型なので倉庫に積み上げるだけでいい。駐車場のスペースさえあれば、データセンターを開設できる時代が来る」。
データセンターに求められるファシリティマネジメントにおける逆転の発想とでも言うべきか――。データセンターはまだまだ進化しそうだ。
(「月刊アイティセレクト」2007年4月号のトレンドフォーカス「需要の急増で様々な課題も噴出! データセンターの最新事情」より)
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