中古PCは買い替え需要の潤滑油?――業界の新たな取り組みは「3R」へ(3/3 ページ)
今や年間100万台以上の市場規模に達しているとも言われる中古パソコンだが、その品質やデータの消し忘れなどによる情報漏えいの懸念が指摘されてきた。そうした懸念を払拭しようと、中古情報機器の業界団体が新たな取り組みを開始した。
小澤氏によると、「これまでIT産業においてリユース市場の実態はほとんど把握されてきませんでした。RITEAではまず中古パソコン市場について実態を把握できるように努め、早ければ5月にも2006年度に国内で売買された中古パソコンの台数や金額を明らかにしたいと思っています。その実態をベースに、中古パソコンが環境保全対策にどれだけ寄与したかという推計値も出したいと考えています」とのこと。
ちなみに、NECが公表している中古パソコン「リフレッシュPC」のCO2削減効果によると、製造段階がないことによりリフレッシュPC1台当たりで約100キログラムの削減効果があるという。
さらに注目されるのは、こうした中古パソコン市場の形成への取り組みにおいて、日本が世界の中で最も進んでいるとみられることだ。業界関係者によると、日本の中古パソコン市場は米国に比べて2年は進んでいるという。もっとも米国の場合は、使用済みのパソコンはリユースでなく寄附されることが多く、その意味では文化の違いともいえる。
そうした文化の違いはともあれ、もはや危機的状態を迎えている地球温暖化への対策として、日本の中古パソコンの3Rプロセスによるバリューチェーン構築の取り組みは、今後世界的にも注目度が高まるのではないだろうか。まさしく日本のIT業界の社会的責任が試されようとしている。
(「月刊アイティセレクト」2007年5月号のトレンドフォーカス「中古パソコンのあり方にみるIT業界の社会的責任」より)
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