電子タグの実証実験が花盛り――“動脈”だけでなく“静脈”も取り込む(2/2 ページ)
電子タグの実証実験が花盛りである。百貨店では化粧品や靴に、コンビニエンスストアではおにぎりにまで電子タグが貼付され、その華やかな取り組みが伝えられている。国内外で着実に進むRFIDの実用化への流れを探る。
そのため、米国対応策をも含め、しっかりとしたガイドラインの策定と、業界内の混乱を避けるルール作りが求められていた。
「今回の実証実験は、終了した時点が本来のスタート」と語るのは、ソニーのSCM企画室でRFID標準推進課の統括課長を務める金田浩司氏だ。「実験結果をガイドラインにフィードバックし、EPCglobal標準(バーコードに代わるデータキャリアとして、RFIDとインターネットを利用したElectronic Product Code globalネットワークシステムの開発・推進を行うために2003年11月に設立された非営利法人)とISO標準仕様に盛り込まれることが最終的な目標」と打ち明ける。米国のウォルマートやベストバイなどの事例が先行している中、日本の家電業界でもオペレーションも包含する形で運用技術を提案したい考えだ。
しかし、その活動もまだまだ緒についた段階。現状は、EPCglobalに要求事項を出す資格もない状態だという。そのため、今年の10月ごろには正式な要求を出すためのアクショングループを立ち上げる予定だ。そこで初めて標準化への発言権が得られ、ユースケースモデルを標準化して業界への提案もできる。
「今後はEPCglobalの物流部会と連携もしながら、電子タグのユースケースの標準モデル作りを進め、積極的に国際標準化へ関与していきたい」と金田氏は語る。
次回は、各社の国際的な標準化への課題と取り組みを追う。
(「月刊アイティセレクト」2007年4月号のトレンドフォーカス「電子タグの実証実験が花盛り、国際標準化をめぐる駆け引きも激化」より)
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