ニュース
電子タグの実証実験が花盛り――激化する国際標準化をめぐる駆け引き(2/2 ページ)
にぎわいを見せる電子タグの実証実験では、企業が独自で実験センターを開設する例や、海外企業と共同運用に取り組む本気の事例も珍しくない。しかし、その裏では標準化への影響力を強めようとする駆け引きが激しさを増している。
「RFIDは社会の巨大なネットワークシステムになる」という鈴木氏だが、RFIDの本格普及の条件について、「物の流れ、人の行動、企業内のコスト構造など、リアルタイムで企業経営が可視化できるキラーソリューションの登場が待たれる」と語る。
標準化への影響力強化が日本の国家戦略に
これらの取り組みにより、実ビジネスベースで検証が繰り返され、極めて現実的な問題に取り組む姿勢が見られるようになってきている。タグ利用のメリットや利益を真剣に考えるフェーズに入ってきたといえる。
また、RFID標準化への影響力強化が、日本の国家戦略的な取り組みになってきたともいえる。海外からの外圧により、欧米主導の論理でずるずると標準化が固まることに、経産省をはじめ、日本のグローバル企業は最も懸念を示す。
そのため、今後日本がEPCglobalでリーダーシップをとり、商慣行や業界の意見を最大限盛り込むためには、実証実験を繰り返し、実のある結果を出すしか方法はないといった切迫感も感じられる。日本のRFID関係者にとって、まさに今が踏ん張り時なのかもしれない。
(「月刊アイティセレクト」2007年4月号のトレンドフォーカス「電子タグの実証実験が花盛り、国際標準化をめぐる駆け引きも激化」より)
関連記事
- 電子タグの実証実験が花盛り――“動脈”だけでなく“静脈”も取り込む
電子タグの実証実験が花盛りである。百貨店では化粧品や靴に、コンビニエンスストアではおにぎりにまで電子タグが貼付され、その華やかな取り組みが伝えられている。国内外で着実に進むRFIDの実用化への流れを探る。 - 「ソースタギング」で見えない売れ筋を発見!
電子タグ活用の実証実験は過去にも行われてきた。この2月に行われた実験は卸だけでなく、製造サイドも巻き込んだ取り組みだ。コスト削減だけでなく新しい情報活用の可能性が注目される。 - 修理に出したプラズマテレビは今どこに?――ICタグで修理品を一括管理
家電電子タグコンソーシアムとビックカメラが、ICタグを利用した家電修理サービスの実証実験を公開した。 - “未来の三越”──値札は電子ペーパー&RFID
銀座三越のジーンズ売り場で、“未来の百貨店”の実証実験が始まった。電子ペーパー製値札に在庫情報をリアルタイム表示。試着室には、顧客が在庫検索できる端末も備えた。 - トップクラスが集結して日本ブランドの確立を目指す
国産ソフトウェアの海外展開は、過去にも何度かあった。ただ、今進められている、ベンチャー企業などの連合体による挑戦は、従来とはいささか異なるスキームを持つ――。
Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.