団体戦で連戦連勝目指す、わが社の「SMAP」:システムインテグレータの営業力強化(2/2 ページ)
ここでいう「SMAP」とは新日鉄ソリューションズのSalesMan Activity Programという営業力強化プロジェクトのこと。営業活動の見える化を実現し、個人頼みの体制から、チーム力の結集を目指す。
日々の仕事でプロセスを体感
そこでSMAPでは3〜4カ月かけて独自の営業プロセスを作成。その次のステップとして浮上したのが、標準化された営業プロセスを社内に定着させる方法だった。プロジェクトメンバーの一人である営業企画部シニア・マネジャーの五味隆氏はこう語る。「営業プロセスを書いた紙を回覧したり研修を行っても、その場かぎりで定着しない恐れがあります。本当に各社員に浸透させるには、日々業務の中で使うツールに営業プロセスを組み込むことが効果的だと考えました」
そこで選んだのがASP型のSFA/CRMサービスである「Salesforce」だった。選定の理由を五味氏はこう明かす。
「メンバーはみな営業マネージャで忙しく、要件定義はアフター5の作業になります。時間的な負荷を考えると、導入が比較的容易で、使い始めてからも柔軟にカスタマイズできる『Salesforce』は魅力でした」 導入には約3カ月をかけ、10月にはパイロットユーザー60名で利用。ユーザーの反応も良好だったことから、順次導入を進めて06年4月は本格導入に踏み切った。
リアルタイムの予実管理
営業標準プロセスが浸透した効果は大きい。例えば、属人的な判断で行われがちだった成約見込みの判断も、営業プロセスが明確になったことにより精度が向上。さらに以前は手間がかかっていた予実対比も、現在は「Salesforce」のダッシュボードでリアルタイムに可視化できるようになった。
営業チーム全員で現況を把握できるようになったことで、営業活動も戦略的になった。以前のようにミーティングの際、現状把握に余計な時間を費やすことがなくなり、「現時点でどのような活動をとるべきか」、「フォーキャストを増やす動きをするべきか」、「いまある見込み案件の受注確度をあげる動きをするべきか」といったテーマについて思考・対話し、仮説に基づき行動へと結びつけていくことができているという。
現場ユーザーの反応も上々だ。金融ソリューション事業部営業第一部営業第2グループの高野礼資氏は、案件の引継ぎ時の効果を指摘する。「期中に引き継ぎが行われた場合でも、その案件の予算がどんな根拠で立てられたのかといった情報や過去の履歴が簡単に把握できるので、混乱もほとんどありませんでした」
システム連携を進めさらなる効果を
一方、現場からはこんなリクエストも上がっている。「現在、他のシステムに入力しているようなデータや、紙で運用しているデータも、『Salesforce』と連携させて一度入力すればすべて分かるという状態になれば便利ですね」(金融ソリューション事業部営業第一部営業第2グループ水谷剛士氏)
今後はこうした声を吸い上げながら、さらに営業プロセスの見える化を促進。チーム内だけでなく、各事業部間で情報共有することにより社内のコラボレーションを活性化させていく考えだ。
関連記事
- 「Apex」はSalesforce.comの強力なドライバとなる
- 内部統制ニーズに対応――新日鉄ソリューションズが「IPLocks」を販売
- セールスフォース・ドットコム 代表取締役社長 宇陀栄次氏――「歴史に学べ!」先駆者が語る“IT産業の未来”
関連リンク
Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.