「オープンソースは市民権を得た」――Red HatのズーリックCEO
Red Hatのマット・ズーリックCEOが「Open Source Business Conference」で基調講演。オープンソースは市民権を獲得したと述べた。
「オープンソースソフトウェアそしてそれを取り巻くコミュニティーは、もう市民権を求める必要がない。既に市民権を獲得したからだ」――Red Hatのマット・ズーリックCEOは5月22日、サンフランシスコで開催された「Open Source Business Conference」でこのように語った。
「The Evolution of Open Source in the Enterprise」(企業におけるオープンソースの進化)と題されたキーノートスピーチの中でズーリック氏は、「今日、企業がオープンソースとプロプライエタリなソリューションの間で、自分たちが求める機能を探す機会がかつてなく増えた」と述べた。
何兆ドルものレガシーロジックを解き放つことができるというのは、考えるだけでも驚くべきことであり、レガシーアプリケーションに格納されたすべてのデータとロジックを解き放つ次世代のアプリケーションが強く求められているという。「これは一部の賢明な人々にとって巨大なチャンスである」と同氏は話す。
「また、ソフトウェア業界は高度なサービスを提供する訓練を受けていない。顧客のIT予算の40〜50%がサービスに関連したものだという現状がそれを物語っている」と同氏は聴衆に語った。「オープンソース業界にいるわれわれは、現在提供されているサービスを超える高レベルのサービスを開発する必要がある」。
相互運用性の問題について、ズーリック氏は相互運用性問題を抱えているオープンソースベンダーは存在しないと言い切った。業界はオープンな標準を信奉しているからだという。「新しいメタデータモデルが構築され、データが連携できるようにするには、データは中立的なフォーマットに格納されなければならない」と同氏は語る。
「これらはすべて標準に関する問題である。ベンダーが『相互運用性』と言うとき、それは必ずしも相互運用性だけについて言っているのではない。われわれにとって、それはオープンな標準に関する問題なのである。各国の政府がなぜ今、OpenDocument Formatといったものを検討しているのか考えていただきたい」と同氏は問い掛けた。
「わたしが会った顧客は、コストを価値に置き換える新しいデータモデル、そしてデータを連携する新しい方法について考え、また、それらを求めている」(同氏)
議論を呼んでいるソフトウェア特許の問題に関して、「業界のリーダーたちはこれまでずっと知的財産を尊重しており、特許問題は比較的最近の現象だ」とズーリック氏は指摘した。しかし、特許ではなくイノベーションに目を向けるべきだという。
「われわれ業界が突き付けられているのは、何がオリジナルかという難題だ。特許はイノベーションへの挑戦であり、業界のイノベーションは修正プロセスよりもはるかに速く進む」と同氏は語る。
「特許論争で欠落しているのは、メーカーとユーザーの関係が変化したという視点だ。両者の関係はもはや一次元的なものでも受動的なものでもなく、ユーザーは現在、開発プロセスの能動的な参加者なのである」(同氏)
この状況は、コラボレーションのための大きなチャンスを生み出した。ユーザーは開発プロセスに参加し、自分たちの声を聞いてもらいたいと思っているからだ。これはオープンソースソフトウェア開発プロセスの魅力的な部分であり、ユーザーが意見を言えなかったこれまでとは大きく異なる点だという。
「われわれには今、ユーザーの苛立ちを募らせている問題に論争の中心を移すチャンスがある」と同氏は語る。
さらにズーリック氏は、Oracleおよび同社の有力なUnbreakable Linux製品にも言及し、競争は「素晴らしいことだ」と述べた。「彼らが出てこなくても、ほかの誰かが出てきただろう」(同氏)
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